第五幕〜勧善懲悪に則り、成敗いたす!〜



――――がキンッ!


「三上せんぱーい! これって一体どうなってるんすか!?」
「げっ! に翼じゃん!? どうしてお前らが一緒に戦ってるんだよ!!」
「ごめんね二人とも、私たち、貴方たちの敵なの。二人に私怨は無いけれど、戦場で出会ったら敵は敵。大人しくしてね?」
「うわっ!?」

――――ぼむっ!!

「け、煙玉!?」
「翼、こっちへ!!」
「ああ」

 は翼を連れて、茂みへと隠れる。
、着物が脱げないんだよ!! どうすればいいんだ!?」
「やっぱり……(汗)この帯を引っ張って……そう、そうしたら脱げるでしょ?」
「くそっ……女って、いっつもこんな煩わしいもの着てんの?!」
「……男も女もあんまり変わらないと思うけど(汗)」

 やっと着物を脱ぐことが出来た将軍様は、自らも戦場へと出られるおつもりのようで……。しかしは、それには首を振る。
「駄目です、将軍様! 将軍様にもしものことがあったら、私たちはご先祖様たちに顔向けが出来ませんっ」
「万一なんて起きてたまるか! は僕のことを信用してないわけ?」
「違います! ただ、私は心配なんです……またさっきみたいに、翼様の身に危険が迫ったらと思うと……」
 いつの間にか、敬語と敬称を付けて話し始めた。翼は俯くを抱き寄せると、その額を軽く小突いた。
「それはお互い様。僕はお前がいつも危険な目に遭ってないか心配だよ」
「翼様……」
 複雑な表情を浮かべるに、翼はスッと目を細める。
「我がお庭番、。お前の主君、椎名翼が命じる。この戦いの間、お前に我が背中を預ける」
「!」
 驚いたように目を見開く。しかし、すぐさま大きく頷いた。
「はい! 有難き幸せでございます……」
「そして、お前の背中は僕が守る。だから安心して戦えよ」
「…御意!」
 二人は微笑み合うと、は喧騒の中へ、翼は身支度を整え始めた。(着替えないとねv)






「藤村、お前と手合わせ出来るとはな」
「俺も不破センセと戦えるなんて思ってもみいへんかったで! 相変わらず無駄の無い動きや!」
 不破とシゲは、庭先で向かい合っていた。
 漆黒の闇に、シゲの金髪が浮き出ている。忍らしからぬいでだちに、不破は言う。
「お前は鬼……夜叉のようだな。その髪は、忍の世界には不釣合いだ」
「まあな。でもこれが俺のトレードマークなんや。鬼でも夜叉でも構わへん。俺が俺でいるために、この姿を変える気はせえへんよ」
 さらりとシゲの金髪が風に揺れる。月明かりに照らされたそれは、黄金に輝いている。それが合図となって、二つの影は交差する。

――――ジャキンッ! ガキッ!!

「ひゅー♪ やるなー、不破センセ! 俺の二刀流を軽くいなす奴なんて、そうそうおらへん。何でアンタが三上の下なんかで働いとるん?」
「……
就職難だった。それだけだ」
「な、何や思い詰めた表情やなぁ……。さっさとこんな屋敷辞めて、うちへ来たらどうや? 多分、お上は二つ返事でOKするで」
「考えておこう。今はお前は敵だ。負けるわけにはいかない」
「そらそうや! ほんならこっちも、本気でいかしてもらうで!」
「来い、藤村」
 再び、激しい戦闘を繰り広げる二人。



「笠井一族の末裔なんやって? そんな優秀な君が、何でこんな屋敷にいるんや?」
「それはこっちが聞きたいよ。自分こそ、家業を継がないの? あんな有名な呉服屋なのに」
「僕は呉服屋は性に合わへんのよ。体動かしてる方が好きなんやv」
「クス……同感。というか、刺激を求めてるって言うのかな? だからこの仕事、辞められないね」
「ホンマやねv 何や君とは、もっと違った形で会いたかったわ〜。そしたら僕ら、きっとイイ友達になれたと思わへん??」
「そうかもね。そう考えると、本当に残念だなぁ……
転職したら、友達になろうか」
「もちろんや! 僕はいつでも待ってるでv」
 竹巳とノリックは、屋根の上で向かい合いながら微笑む。手には武器を構えつつも、その表情は穏やかで。友情はいつも、突然生まれるものなのである。



「ちっ!! あんな少人数に、お前ら圧されてんじゃねえか!?」
「も、申し訳ございません代官様! しかし、あの者たちの強さは半端ではございません!!」
 イラツキを隠せずにいる三上に、誠二と結人が駆けてくる。
「三上先輩! 大変っす!!」
「何だバカ代!!」
「も、門の外に奉行所の連中が詰め掛けて来てるんだ!! この騒ぎを訝しく思ってるらしい! もう俺たちじゃ対応できねえよ!!(汗)」
「くそっ……こうなりゃヤケだ! そいつらも全員ここで叩きのめせ!!」
「「マジすか(かよ)!?(汗)」」
「さっさと行け!!」
「「御意〜!!」」
 結人と誠二は、泣く泣く門を開け、奉行所の面々と対峙する。

「何だ、若菜と藤代じゃないか! はどこだ!? 俺の
スイートハートは!?」
「相変わらずだな……渋沢……(汗)」
 呆れた声を上げる結人に、一馬が青い顔で言った。
「結人、久々だな。英士は元気か?」
「一馬……今はそんな余裕こいてる場合じゃねえんだよ」
 そう言って、刀を構える結人と誠二。
「な、何を……」
「悪いな、水野。でも、俺たちも命が掛かってんだよ。お前たちをこっから先に通すわけにはいかねえ」
「結人! お前、何言って……」
「一馬、お前は俺の親友だ。でも、今は敵。戦場で会ったら、俺たちは敵なんだよー!(涙)」
「おい若菜……お前、意味分からないぞ(汗)」
 竜也が言うと、渋沢がその肩を叩く。
「いや、俺には分かる、分かるぞ! 男には戦わなくてはならない時がある!! それが今なんだろう!? のため、江戸のため、そして
のために俺は戦う!!」

――――ジャキッ

「若菜、藤代! ここで会ったが100年目、いざ尋常に勝負!!」

「渋沢……お前の
意味不さが、今は有難いぜ……! 行くぜ、藤代!」
「キャプテーン! 俺たちは負けないっす!!」

 渋沢の一声で、町奉行所の役人たちは一斉に代官屋敷に押し入っていった。その様子を、ただ呆然と見つめる竜也と一馬。

「なあ真田……なんでこんなに事が大きくなってるんだ?(汗)」
「さあ……ていうか、渋沢が戦う理由はしか無いんだな……(汗)」
「……俺たちも、戦うべき……だよな?」
「ああ……行くしかないな……」
 二人は胃を押さえながら、喧騒へと飛び込んでいく。その心中は「ああ、早く転職したいな」だけであったりする……。世の中は、スタッフ○ービスを求める人で溢れかえっている模様。転職ブーム到来、である(切実)

「風祭、俺たちも行くか」
「うん、そうだね。あ、杉原君!」
 風祭と天城の前に、杉原多紀が現れた。今回の事件の黒幕は彼なのだが、勿論二人はそれを知らない。
「やあ二人とも。久しぶりだね」
「どうしたの? こんなところで……」
 風祭が問うと、多紀は声を潜めて話し始めた。
「実は、ここの代官が謀反を企んでいるっていう情報を聞きつけてね。もしかしたら将君たちの役に立てるかもって思ったんだ」
「そうなんだ! 僕たちもその調査に来たんだけど……」
「どうやらもう、悪事はバレらしいな」
 天城が喧騒を遠目に見て言う。
「そうみたいだね。代官は他にも、様々な悪事に手を出していたらしいよ。ほら、これが証拠」
 そう言って多紀は、数々の書面や、証拠物件と思しきものを手渡した。
「うわあ、すごい! どこで手に入れたの?」
「ちょっとした情報通がいてね。役に立ったかな? この情報は」
「ああ、すごい証拠だ。これだけあれば、代官を捕らえられる」
「良かった。じゃあ、僕はこれで」
「うん、またね」
 ひらひらと手を振る風祭と多紀。
 風祭と天城は、自分たちがまんまと出し抜かれたことに気付かない。勿論、三上もである。


 杉原多紀。
 彼がこの江戸を牛耳る、影の支配者になる日はそう遠くは無かった。(悪代官は、間違いなくコイツである)






―! どこにいるんだ!? 助けに来たぞーーー!!!!」
「こ、この声は……克朗!? ていうか声でかっ!!」
 喧騒にも負けない大声に、はびっくりして顔を上げる。すると、戦国の衣装に身を包んだ渋沢が、ばったばったと敵をなぎ倒してこちらに向かってくるではないか。最早奇行としか喩えようが無い。
「御奉行!! ちょっと、落ち着いてくださいよーー!! いつの時代の人間ですか!?(汗)あっ! そっちは味方ですって!!(涙)」
「い、胃が痛てえ……!!(涙)」
「竜也! 一馬!?」
 その後に続くように、竜也と一馬も向かってくる。竜也は敵味方構わず薙ぎ倒す渋沢を止めようと必死で、一馬は胃の痛みに耐えるので必死の様子。
「ちっ……あいつら、もう来やがったのか! お前ら、あいつらを先に潰せ!!」
「「オーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」

 こうなると、もう誰が敵で誰が味方かも分かったものではない。町奉行所の面々と代官屋敷の郎党たちがごっちゃに入り乱れてもみくちゃになっている図は、もはや男祭。(勘違い)は「げっ、最低……」と戦線離脱。屋根の上へと飛び上がる。ふと見れば、将軍様のお着替えは済んだご様子。は「今だ」とばかりにカンシャク玉を投げ上げた。

――――パンッ パンッ パンッ

「!?」

 大きな音に、一瞬全ての人間の動きが止まった。
 それを見計らったかのように、が声を張り上げる。
「皆の者、静まりなさい!」
「な、何だ……?」
 は屋根の上からストンと飛び降りると、翼の前へと降り立つ。そして、そのまま更に声を張り上げた。
「控えおろう!!」
「「何の台詞だよ!?(汗)」」
 思わず突っ込む、敵&町奉行所の面々。
 しかし、当の本人や将軍様ご一行は何も気にしていないようで。その言葉が引き金となったかのように、の両脇にシゲとノリックが降り立つ。そして、シゲが胸元から印籠を取り出した。
「この紋所が目に入らぬか〜!!」
「なっ!?」
 三上の顔が急激に青ざめる。他の役人も、引いては全ての人間が一歩下がる。

「……どっかで聞いたことある台詞だよなぁ、コレ」
「ああ……今、このタイミングでこの台詞が出てくること自体、ミスマッチの極みだと思うんだが……」
「もう何でもありなんだな、この世界(汗)」
「……考えるだけ無駄だ(汗)もう、流れに乗るしかねえな」
「はあ……」
(竜也・一馬の心の叫び――もとい、心の会話を抜粋)

 その様子に笑みを浮かべながら、ノリックが続ける。
「ここにおはすお方をどなたと心得る!! 先の将軍、椎名翼公であらせられるぞ!!」
「な……翼が、将軍椎名翼だと……!?」
 三上がよろけると、は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「皆の者、頭が高い! 控えおろう!!」
「は、ははあ……!!!」
 皆がその場に平伏すと、翼が前に出る。忍三人衆はその後ろに下がり跪いた。
「代官三上亮。お前の悪名は、最早江戸中に広がっている。賄賂、恐喝、カドワカシ、罪無き者への不当な極刑等、不届き千万、許すまじ大罪だ。神妙にお縄に付け!」
 翼の言葉に、三上は顔を歪めながらも抗議する。
「お言葉ですが、将軍様。今仰られたことの証拠はあるのですか? 言われ無き罪を被るのは、こちらとしてもあまりに……」
「証拠ならあります!!」
 立ち上がったのは風祭。翼の前に跪くと、先ほど多紀から手渡されたものを見せる。
「これは……三上、これを見ても、まだ白を切り通せる?」
「ぐっ……これは…………杉原屋め、図ったな……!」

 ちらりと振り返った先に、柔和な笑みを浮かべる多紀と目が合う三上。怒りで切れそうになりつつも、最早どうすることも出来ない。
 がくっと肩を落とし、お縄にかかる寸前……と思いきや。

「……フン、こうなりゃもう何もかもめちゃくちゃにしてやる!! 将軍が相手だって関係ねえ!! 者共、斬れ!! 全員斬れ!!!!」
 三上の怒声が響くと同時に、郎党たちも立ち上がる。翼は溜め息をつきながら、背後の面々に言った。
「……仕方ないね。お前ら、行くよ!」
「「「御意!!!」」」
 翼の掛け声と同時に、達、また奉行所の面々も散々していった。





「ぐはっ」
「がっ」
「僕にたてつくなんて、100万年早いんだよ!」

 翼は見事な剣舞で、峰打ちを披露していく。それに続くように、シゲやノリックも相手を気絶させていく。

「……どうやら俺たちの分が悪いようだ。俺は降りさせてもらう。三上ももう終わりだろうしな」
 シゲの前に降り立った不破が、そう言って背を向ける。
「おっと、不破センセ。勝負の決着はまだ着いてへんやん! 逃げるんか?」
「……お前との勝負は、いずれ必ず。それまで待っておけ」
「はいはい。ったく、不破センセには敵わへんわ」
 屋敷から離れていく不破に、ひらひらと手を振るシゲ。
「鬼……ねえ。俺より鬼は、他にいるんやけどなぁ」
 苦笑いする視線の先に映るのは…………。



「……吹き矢って、中々無い武器だよね」
「そうやね! でも僕は、これが気に入ってるんよv」
 竹巳のクナイをかわしながら、ノリックは笑った。
「おーいノリック! 加勢するで」
「ややっ、藤村! お前、不破クンはどうしたんや?」
「それがなあ、不破センセは戦線離脱してもうたんや。勝負は何時かにお預けや〜。つまらへん」
 シゲの言葉に、竹巳はクスリと笑みを零す。
「そっか。離脱しちゃったのか。三上先輩に愛想尽かしたって?」
「ま、そんなとこやな。で、アンタはどうする? 俺たちとまだやるん?」
「うーん……どうしようかな。あ、そう言えば、お姫様の姿が見えないけど大丈夫?」
ちゃんのこと?」
「うん。女の子が、あんな大勢相手に切り込んでくのって、大変なんじゃないの?」
 心配そうな視線を庭先に向ける竹巳に、シゲが言った。
「ニャンコ、俺たちの頭領って誰だか知っとるか?」
「? 江戸城お庭番衆の?……知らないな。君たちを束ねてるくらいなんだから、よっぽど凄いんだろうなとは思うけど」
 竹巳の言葉に、ノリックが笑う。
「そ! ホンマすっごいんやでv 僕たちの頭領は」
 ノリックの視線の先を追った竹巳は、驚きの表情を浮かべる。
「もしかして、頭領って……」

 三人の視線の先には、艶やかに舞う
 風車が舞い、敵が倒れていく。
 その姿にしばし見惚れた三人は、もはや戦う気力を失いその場に座り込んだ。

「なんやこのまま、の舞を肴に、酒でも飲みたい気分やわ……」
「………ホンマやねえ。敵わへんなぁ、うちの頭領には」
「クスクス……何だか、いい気分になるね。ああいうのを、戦乙女、戦女神って言うのかな?」
はいつでもいい女やけど、戦ってる時が一番やv」
 シゲの言葉に、後の二人は大きく頷いたのだった。





「くっ……」
 その頃三上たちは、着実にたちに追い込まれていた。数えるほどの郎党しか残っておらず、英士と三上は屋敷の奥へと逃げる。
「代官、こちらへ」
「ああ」
 英士が裏庭へと誘導する……が、そこには既に、翼と、そして、町奉行所の面々が集まっていた。

「観念するんだ三上! お前の悪事は許されることではないが、今悔い改めると誓うのなら、極刑は免れるぞ!!」
「うっせえ渋沢! もう今更何も許しも乞いたくねえんだよ!! 悪役は悪役らしく、花々しく散るってもんだぜ!!」
 英士が三上を庇うように前に立つ。それに向かい合うのは
「……、君と戦うことになるなんてね」
「私は最初からこうなるって思ってたけど?」
「フッ……気の強い女性は好きだよ」
「三上と同じこと言わないで!(汗)」

――――チャキンッ

「もう少しでを好きに出来るところだったのに、残念だよ」
「私はとっても嬉しいわよ。男にいい様にされるなんて、真っ平ゴメンだもの」

――――タンッ タンッ

「くっ!?」

 の投げた風車が、英士の着物の袖を貫き壁に貼り付かせた。英士は身動きが取れない。はその喉元に短刀を突きつけ、不敵に微笑んだ。

「勝負あったね、英士v」
「……負けたよ」
「克朗、竜也、一馬! 代官の右腕捕らえたわよー!」

 の声に、渋沢と竜也が飛んでくる。
!! 無事か!? おお会いたかったぞマイハニー☆ はビューティホーな隠密だったんだな!! でもその衣装も最高にグッド!! 生足が俺の心に響――――」

――――ドカッ!!


 
渋沢を蹴り飛ばすように、竜也と一馬が現れる。
「大丈夫か! 郭、お前が参謀だったのか……」
「英士……俺はお前を捕まえたくねえよ……」
 すると英士は、フッと微笑む。
……お庭番衆の頭領に相応しい力量だったよ」
「何で、それを……」
 驚いたように目を見開く
「俺の情報網を甘く見てもらっちゃ困るよ。でもね、君は優しすぎるよ」
 するり、と英士の影が動く。
 が「しまった」と思った時は既に遅し。英士はの風車を引き抜き、壁から離れていた。
「またね、、一馬」
「あ! ちょっと英士…………はぁ、逃げられたぁ……」
 がくりと肩を落として嘆くに、一馬は呟く。
……俺はが甘くて良かったって思ってる……」
「……ふふっ、まあ、確かにそうよね。英士は多分、本当に悪いこと、とはしてないだろうし」

 闇夜に姿を眩ました英士。
 彼が舞い戻る日は、そう遠くない……?



……俺はの美しさに気絶してしまったようだな……ハハハハ、すまん!」
「克朗……(汗)」
 むくりと起き上がった渋沢の相変わらずさにも、は笑うしかない。
……見れば見るほど、何て美しいんだ……! その短い着物が何とも艶やか! 
妖艶!! 淫ら!!
「み、淫らってねえ……(汗)」

「「こらそこ! 和んでる場合じゃない!!(怒)」」
「「「!!!」」」


 
すっかり忘れ去られていた代官と将軍様。二人は大変ご立腹の様子。
「まだ事は終わってないよ! とっとと蹴りを付けるよ!!」
「「「はいっ!!!」」」
 を含む、町奉行所の面々が返事をすると、気を取り直したように三上も刀を構えた。
 翼はに目で合図を送ると、は短刀を構える。
「…………成敗!」
 こくんと頷いたは、そのまま三上に切り込んでいく。

「フン、、お前には負けねえよ!」
「将軍様の命により、貴方を成敗いたします!!」

――――スバッ!

 と三上がすれ違い、離れる。
 しばし時が止まったような感覚。
 数秒の後、倒れたのは三上だった。

「ぐっ…………」
「安心して、急所は外してあるわ」
「……ククッ……どこまでも強い女だな、お前は……」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「ああ……お前ほどのいい女、くの一にしとくのはもったいねえぜ……」
 息も絶え絶えにそう零す三上に、は微笑む。
「いいのよ、私は。闇夜に咲いて、闇夜に散りたいの……それに」
 一連のやり取りを遠くで眺めている将軍様を見つめる
「私はね、将軍様のお傍で、将軍様をお守りすることが何より幸せなの」
「くっ…将軍のためなら、死ねるってか?」
「愚問ね」
 さらりと答えたに、三上は溜め息ともつかぬ苦笑を漏らした。
「ククッ……まったく大した女だな、お前は」
「ふふっ、牢屋でゆっくり反省するのね」
「ちっ……ほら、とっとと連れていけよ……うっ……」
 ばたりと倒れる三上。
 はっとしたように、竜也が声を上げる。
「三上、並びに幹部たちを捕らえろ! 明日一で、取調べを行う!!」
「はっ!」
 竜也の指示に、役人たちは一斉に動き出す。
「ひぃっ!! 俺たちもお縄かよ!? か、一馬、早まるな!!」
「キャプテーン!! 見逃してくださいよ〜!!(泣)あ! タク!! 何でそいつらと呑気に歓談してんのさ!?」
「あ、誠二。俺、さっき付けで代官屋敷辞めたんだ。もう転職先も決めてあるからさ。じゃあね誠二。牢獄生活を満喫しなよ」
「えぇっ!?(滝汗)そ、そんなぁ!!」
「ちっくしょー! 英士の奴も逃げやがったー!!(怒)こうなったら藤代! 何が何でも逃げ切るぞ!!」
「お、おう!」



 結人と誠二が逃げ惑う中、は空を見上げる。
 夜はすっかり明け、朝日が輝き始めていた。

「ふぅ……一件落着、かな?」




 閉幕に続く




/表紙/

 はいはいはい、ついに此処まで辿り着きました☆時代劇っぽく頑張ってみましたが、いかがでしたでしょうか?  個人的には水戸黄門と暴れん坊将軍を足して二で割ったような雰囲気を目指しました(どんなだ?) midiが気分を盛り上げてくれれば良いのですが……。
 さて、次回でいよいよ物語も閉幕。もう少しだけお付き合いくださいねv(そして次回もmidi鳴ります! 音量にご注意くださいませ)


<Music by 対自的ユートピア:裏拳様>