「ヴァンパイア……」

 呟きは、自分の心音で掻き消される。
 赤く輝くその瞳から目を逸らせない。
 息が出来ない。動けない……。





 
Chapter4: The caprice of God.





――――数分前、地下にて

「なあ結人……今のって」
だったよな。やべぇな……」
「……椎名に伝えるか」
「……だな」


――――こちらはフロント

「あれ、……」
「笠井? あ、あの子は……」
「あんなに急いで、一体どうしたんだろう」
「!?…………この香りは…………」
「……三上先輩? でも、今が飛び出していったら…………」
「……様子を見に行った方が良さそうだな」


――――フロア一角

「(椎名、椎名! ちょっと話があるんだ……)」
「……すみません、マドモアゼル。ちょっと席を外させていただきます」
「あら翼、つれないのね? せっかく会いに来たのに……」
「フフ……すぐに戻りますよ。今宵の僕は、貴女の虜ですから……」
「うふ……相変わらずお上手だこと。いいわ、翼のためなら、何時間でも待っててあげる」
「(椎名!)」
「フフ……ではまた後で」

「で? 接客中断させてまで伝えたいことって何?」
「そ、それが……」
「早く言えよ、真田。僕はお前と違って忙しいんだから」
「実はさっき、に…………」


――――フロア一角その2

「た、ただいま戻りました」
「結人〜ん、遅かったじゃなぁい? さ、私の隣に座りなさい」
「え、ええ……
(英士、英士!)
「(何?)」
「(やべえことになった……)」
「(?)」
「(実はさっき…………)」







 血で濡れた口元を拭った彼――三上亮は、ゆっくりと私へ近付いてくる。私はそのまま後ずさる。
 段々と距離が狭まり、逃げ道が無くなっていく。どんっという衝撃が背中に走り、壁に追いやられたことを悟る。
「……まさか、お前に見られるとはな」
「……」
 見下ろすように私を見ながら、表情の無い顔で告げる彼。
 もう……逃げられない……。
「怖くて、声も出せねえか?」
「……」
 今度は意地悪そうな笑みを浮かべて、顔を近付けてくる。私は、彼の瞳を見たまま動けなかった。
「翔の妹……か。もしお前が、今夜ここで見たものを忘れるって言うなら、見逃してやる」
「……」
「でも……もしまだ何か首を突っ込むって言うなら……」
「っ……!」
「――――お前のココに、牙を突き立てるだけだ」
 首筋に、硬いものが当たる。
 熱い吐息がかかり、思わず身震いをする。
 遠くに薄っすらと見える、さっき彼に血を吸われていた女性。彼女はどうなったんだろうか。死んでしまったのだろうか?
 じゃあ、お兄も…………。

「……貴方が…………」
「あ?」
「貴方がお兄を……」

 怒りと悲しみが押し寄せてくる。
 許さない。絶対にコイツだけは許さない。

 私は、キッと彼を睨みつける。
「……殺すなら殺せば?」
「は? 何言って……」
「血が欲しいんでしょ? だったら吸えばいいじゃない! 私もお兄のように殺しなさいよ!!」
「お前……」
 一瞬、驚いたように目を見開いた彼。私は叫ぶように続けた。
「私は絶対に貴方を許さない! たとえ私が死んだとしても、お兄の仇を討つまで何度でも生まれ変わって、貴方を殺してみせる……!!」
 目を逸らすことなく、そう言い切った私に、彼は毒気を抜かれたような顔をした。そしてしばらくすると、肩を揺すって震えだす。
「ッ……クククッ……!!」
「!?」
「アッハッハッハッハッハ!!」
 何と、彼は笑い出したのだ。さっきまでの殺気はどこにもなく、目の前にいるのは、苦しそうに笑いを堪えているただの青年だ。
「……気に入った」
「……は?」
「さすが翔の妹だな。啖呵切ってみせるとこまで、そっくりだったぜ」
 涙を拭う仕草を見せた彼は、私から離れる。こうやって見ると、自分と幾らも年が違わないような、あどけない青年だ。
「……」
 言葉を紡げず黙っていると、彼は真剣な表情を作る。途端に、辺りに緊張した空気が立ち込めるのを感じる。
「言っとくけどな、俺は翔を殺してない。あいつは俺の親友だ」
「!!」
「確かに俺は……ヴァンパイア。普通の人間じゃねえ。でも、翔はそれを知ってたんだ」
「え……」

 お兄の言葉を思い出す。
――吸血鬼
 お兄はこの人のことを言っていたのだろうか?

「アイツは不思議な奴だった。ヴァンパイアも人間も、何ら変わりはないって言い切りやがった。ったく……俺たちの苦悩も知らないで、勝手なこと言いやがる」
 そう言った彼の表情は、どこか嬉しそうだった。何故そう思ったのかは分からないが、お兄の友人という話は、真実なような気がした。
「お兄は貴方と…………」
「しっ……ちょっと黙れ」
 突然、彼が私に黙るように言った。

 ……気配を感じる。一人……いや、数名の気配を。

「お前ら……その殺気は、俺に向けてんのか?」

 彼の言葉に促されたように、影に紛れた人物たちが現れた。
「竹巳……!? 水野さんも……!!」
……」
 竹巳が、俯き加減のまま私の名を呟いた。その後ろの水野さんも、険しい顔をしている。
彼らに続くようにして、英士、結人、一馬、そして……椎名さんが現れた。
「あちゃー……やっぱ遅かったか」
 結人が頭をかきながら天を仰ぐ。
「一馬と結人のせいでしょ。どうやって責任取るつもり?」
「う……」
 英士の言葉に、小さくなる一馬。
「……三上……お前、自分が今何を話したのか分かってるよな?」
 いつもより数段低い声でそう言ったのは、椎名さん。……明らかに怒っている。
「ああ、分かってるぜ」
 マントを翻し、彼は歩き出す。
「あ、あの――」
「続きは店の中で、だ。お前らも、お小言なら中で聞いてやる」
 すたすたと歩いていく後姿を、私は呆然としながら見つめていた。
 ……一体これから、何がどうなってしまうんだろう。



 店へ戻ると、そのまま地下へ促される。
 店内にはまだお客さんが残っている。
 彼女たちは皆、三上亮がヴァンパイアだということを知っているのだろうか。

 通されたのは、ホストたちの控え室と思われる一室。
 広々とした空間に、テーブルとソファーが備え付けてある。ビロード調のそれらは、それだけで華美な印象を受けた。そして、テーブルの上の花瓶には、溢れんばかりの薔薇……。
 ふと目に付いたのは、壁に取り付けてある大きな十字架。薔薇の蔦が絡み付いている。異様な雰囲気と共に、神秘的な……とても美しいものに思えた。
……そこへ掛けて」
 竹巳に促され、黙ってソファーに座る。それが合図となったかのように、私に向かい合うように、英士、結人、一馬の三人が座り、私の隣には三上亮が座った。

 ……気まずい。

 誰も何も話さない。
 聞こえるのは、お互いの息遣いのみ。地下室だからか、物音さえもしない。地上を光とするならば、この地下は闇そのものだった。

――ガチャリ・・・

 重苦しい雰囲気に、更に拍車をかけるような響きを持った音が聞こえ、顔を上げる。この控え室は、何故か重たい鉄製の扉だ。入ってきたのは、険しい表情の椎名さんと、オーナーの渋沢さんだった。

 渋沢さんが扉に鍵を閉める。
 何故か私は、監獄に囚われたような気分になった。
 ……もしここで私が殺されても、誰も何も気付かないのだろう……などと、暗い考えが頭を過る。そんな陰鬱な気分になるほど、この部屋の空気は重かった。

「さて……大体のあらましは聞いたところだが……」
 渋沢さんが口を開くと、結人と一馬が立ち上がる。
「悪いっ!! 俺たちがうっかりしてたからこんなことに……!!」
「マジで申し訳ない……」
 そう言って頭を下げる二人に、渋沢さんは溜め息をついてそれを制す。
「……過ぎてしまったことをどうこう言っても仕方がない。頭を上げろ、二人とも」
「渋沢……」
「ただし、それ相応の処分はさせてもらう。今はとりあえず、お前たちはフロアに戻れ」
「……」
 二人は無言のまま頭を下げ、そのまま部屋から出て行った。
 渋沢さんは二人を見送ると、椎名さんに目で何かを合図する。頷いた椎名さんを確認すると、彼も部屋から出て行った。
 部屋に残ったのは、竹巳と英士、三上亮に椎名さんの四人。重苦しい沈黙は依然と続き、私は顔を上げることすら出来なくなっていた。
 そんな雰囲気を壊すように、椎名さんが言った。
「で、三上。何がどうなって、こういう結末になったのか、きちんと説明してくれる?」
 三上亮は、気だるそうに髪をかき上げる。
「そんな難しいことじゃねえよ。ただコイツに、俺が血ぃ吸ってるところ見られた。それだけだ」
「……何で血を吸わなかった?」
 低い声でそう問う椎名さんの瞳は、深紅に輝いている。ルビーのような煌きを帯びたその瞳は、薄暗い室内の中でも異様に目立っている。
「……特に理由はねえよ。ただ俺はコイツが気に入った」
「っ!?」
 にやりと笑みを浮かべて、三上亮は私の肩に手を回す。私は思わず身を縮み込ませる。
「やめなよ三上。が怯えてる」
「あぁ? コイツはそんなタマじゃねぇよ。さっきだって、俺に向かってあんな啖呵切りやがったもんなぁ」
 英士の言葉もあっさり交わし、私の顎に手を掛ける三上亮。私は睨み付けて言い返す。
「た、啖呵じゃありません! あれは…………宣戦布告!」
「クッ……ますますいいぜ! 強気なところも、翔まんまだな」
「っ…………」
 この人とお兄は、本当に親友だったの?
 信じられない……。
「三上、いい加減にしろよ」
「……フン。女王様はお怒りってか?」
 不機嫌そうに立ち上がると、そのまま部屋から出て行こうとする。
「おい、三上! まだ話は終わってないだろ!?」
「うっせーな。もう話すことなんて無えだろーが。そいつのことはお前に任せてやるから、血を吸うなり何なり好きにしろよ」
 椎名さんが怒鳴ると、彼はとんでもないことを言い出した。
 血を吸うなり何なり好きにしろだって!? 冗談じゃないわよ!!
「ちょっと!! 何て物騒なこと言ってるんですか!? 私は貴方に聞きたいことがあるって言ってるでしょ!?」
 振り返る彼に、私は告げた。
「お兄ちゃんは、一体どうしたの!? 貴方、何か知ってるんでしょ? 答えてよ!」
「……知らねえよ」
「ここまで来て、まだしらばっくれるつもり!?」
「んなこと言われても、知らねえもんは知らねえ」
「はあ!?」
 思わず立ち上がる私。
「嘘付かないで! お兄は私に言ったのよ! 『吸血鬼』を……アイツらを………………」
 この先は、聞けず終いだった。
 吸血鬼……アイツら…………

――――アイツら?

「アイツらって何だよ……?」
「アイツら……?」
 三上亮が訝しげに聞き返してくるが、私も逆に疑問系で返してしまった。
 あれ……? 一人じゃ……ない……?
「もしかして…………」
 私は英士と竹巳、そして椎名さんを順に見つめる。

「……貴方たち、全員……ヴァンパイア……?」

「……」
 沈黙は肯定の証だ。
 間違いない。彼らは皆、ヴァンパイア――――……。

「……そうだよ。僕たちは、ヴァンパイア」
 椎名さんがゆっくりと私に近づいてくる。
 その瞳は、爛々と輝いていて……まるで、獲物を見つけた狼のように見えた。
「……」
「幾千もの夜を越えてきた、孤高の存在……」
「椎名さん…………っ!?」
 視界が一瞬、真っ暗な闇に覆われる。
 目を開けると、眼前に映る椎名さんの顔。目を覆った闇は、彼のマントだったのだと気付く。
「知られたからには……こうするしかないんだ」
「……」

 何故だろう。
 殺されてしまうはずなのに、全然怖くない。三上亮の時は、本当に怖かったのに……。
 でも……酷く悲しかった。

「っ……ひっく……」
「お前……泣いて……」
「お兄……っ……お兄ちゃん……っ……」
「っ……」

 お兄と同じ顔をしたこの人に殺されてしまうのが、どうしようもなく悲しい。 悲しくて、涙が止まらない。

……」
 突然優しい声音で名前を呼ばれて驚く。見上げれば、少し苦しそうな、悲しそうな顔をした椎名さんがいた。
「僕は……お前の兄貴と、そんなに似てる?」
 こくりと頷くことしか出来ない。
 似てる……なんてレベルじゃない。
 椎名さんは、お兄ちゃんそのものだもの……。
「……お前の兄貴は、お前のこと泣かしたことあった?」
 ふるふると首を振る私。
 お兄は私を泣かすことなんて無かった。時々意地悪されたりもしたけど、どれも愛情に溢れてて……最後には私に向かって笑ってくれる。泣いている私を見たら、ずっと傍で慰めてくれた。

 お兄は私の全てだった。私には、お兄しかいなかったから……。

「……そっか」
 薄っすら微笑んだ椎名さんは、すっと私から離れる。
「――――笠井、郭。上の連中に伝えろ。閉店後、大事な話があるってね」
「……分かりました」
 竹巳はそのまま部屋から出て行く。しばらくして立ち上がった英士は、呆然と立ちすくんでいる私を見ると、微かに笑みを浮かべて見せた。
「英士……」
「……また後でね、
 英士も部屋から出て行き、三上亮と椎名さんと三人になった。
「……へえ? どういう風の吹き回しだ?」
「……別に。ただちょっと、このまま無かったことにするには、惜しいと思っただけ」
「フン……女王様の気まぐれってヤツかよ」
「さあね……」
 二人の会話を聞きながら、私は漠然と助かったのだと思った。部屋の空気が、一気に緩んだのを感じる。
「あの……」
「ねえ……もう一度、最初から説明してくれる? 三上とお前の兄貴の関係とか、色々」
「はい……」
 椎名さんの言葉に従い、私はもう一度兄のことを語り始めた。

 一週間前に突然行方不明になってしまったこと。
 この街に、兄の遺留品が残されていたこと。その中に彼――三上亮の名刺があったこと。
 そして……彼と兄は、親友関係にあるらしいこと。
 それからもう一つ……兄が私に残した言葉――――“ヴァンパイア”……。

「……なるほどね。三上、お前は本当に、コイツの兄貴と親友だったわけ?」
「……ああ」
「そんな話、全然聞いてなかったけど? いつ知り合ったんだよ」
「三年くらい前だな。この街で、ガラの悪いホストに絡まれてたアイツを見つけたのがきっかけ。そんで何となく意気投合したんだよ」
「ホストに絡まれてた? 何で……」
「あ? んなの決まってんだろ。翔は多分、椎名に間違われたんだよ。ホストの中で、椎名のこと知らない奴はいないからな」
 私の問いかけに、さも当たり前そうに答える三上亮。というか、三年も前から知り合いだったなんて……。
「お前……その翔って奴にも、僕たちのこと話したわけ?」
 三上は一瞬「しまった」という表情を浮かべるが、すぐに溜め息をつく。
「……ていうか、アイツから聞いてきたんだ。『お前、吸血鬼なんじゃないか?』ってな」
「それでまさか、ハイとか答えたの!?」
 椎名さんが声を荒げる。
「まさか! でも、アイツは…………吸血鬼に関する様々な知識を持ってた。そのレベルは……並大抵じゃねえ。俺たちが必死で集めてきた情報のほとんどを、アイツは持ってたんだ」
「…………」

 お兄ちゃんは、吸血鬼に詳しかった……。そんな話、聞いたこと無い……。

「それで……コイツは何か知ってると悟ったんだよ」
「……それで、全部話したってわけか」
「……そういうことだ」
 椎名さんは眉間に皺を寄せ、腕を組んだままどかっとソファーに腰を下ろした。
翔……か。お前は……何も知らないわけ?」
「え……あ……すみません……」
「いや…………でも、何で行方不明になったんだろうね」
 本当に、どうしてだろう。何でお兄はいなくなったんだろう。この人たちが、お兄失踪に関しては何も知らないのは本当らしい。
「……翔の奴、俺に何も言わずに消えやがって」
 悔しげに言う三上。この表情が嘘だとは思えない。
「私は……この名刺が、兄の残したメッセージだと思ってるんです」
「俺の名刺が?」
「はい……」
 三人で、名刺を見つめる。
「ねえ、お前の兄貴は、何を勉強してたとか分かる?」
「え?」
「得意な科目でも、家にあった本でも何でもいい。何か分からない?」
 突然、椎名さんの表情が変わった。鋭い視線を、名刺に向けている。
「ええと……兄は一応、薬科大に通ってて……医療薬学を専攻してましたが……」
「……やっぱりね。この薔薇に似た香り、どこかで嗅いだことあると思ったよ」
「……?」
 香り……?
 そう言えば確か、この名刺からは薄っすらと薔薇の香りがしていたけれど……。
「……ねえ三上。これは僕の勘なんだけど」
「椎名……俺も一つ、思い浮かぶことがある……」
 二人は顔を見合わせて呟いた。

「「ローズドロップ」」

「ローズドロップ……?」
 聞き返した私に、椎名さんが答えた。
「ある薬品の呼称だよ。香りが薔薇に似てるから、『薔薇の雫』って呼ばれてる」
「でもな、この薬品は、そう簡単に一学生が手に入れられるような代物じゃねえんだよ」
「……三上の言う通り。薬科大の学生だからって、通常じゃまず考えられない。でも、この薬品は、意図的にこの名刺に染み込ませてある」
「……それって一体、どういうことなんですか?」
 今度は三上亮が答えた。
「翔は……何か掴んだんだ。それがバレて……」
「ああ……そう考えるのが一番妥当だね」
「あ、あの……」
 二人は妙に納得したような顔をしているが、私は何も理解できない。
 何かを掴んで、それがバレた? どういうことなの?
「……お前、ヴァンパイアって、どうやって生まれてるか知ってる?」
 突然問われて、思わず口ごもる。……と言っても、そんなの分かるはずもないのだが。
「も、元々……そういった種族なんじゃないんですか……?」
 恐る恐る答えると、椎名さんは苦笑した。
「フフ……やっぱりそう思うよね」
「え……違うんですか?」
「ちげえよ。俺たちは、そんな自然体な生き物じゃねえんだよ……」
 そうはき捨てるように言った三上亮は、とても辛そうな表情を浮かべていた。
「……僕たちは、人工的に造られたんだよ」
「造られた……?」
「拷問って知ってるよね? アイアン・メイデンとか、鉄の枷とか……」
「……知識としてなら、少しは分かります……」
 拷問とヴァンパイアがどう繋がるのだろうか。
「拷問の中にはさ、魔術的なもの、儀式の生贄、人柱……そういったものも多くあった」
「…………」
「そして……一番残酷な……神への冒涜とも思われる拷問が――――これ」
 忌々しいものでも見るかのように、自分の身体を一瞥する椎名さん。
 言葉を繋げるように、三上亮が吐き棄てた。



――――え?
……今、何て……?
 私は自分の耳を疑った。

 本当は……耳にこびりついている。
 頭の中を、彼の言葉が廻り廻っている。

 彼はもう一度、低い声で告げた。



「――――不老不死の実験体だ」





 To be continued...?


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お待たせしました第4話。ついに、彼らの秘密が明かされてきました。何かめっちゃファンタジー入ってますが、そこら辺はご愛嬌(おい)パラレルパラレルですv
 とりあえずヒロイン、みかみんいは強気で臨みます! 基本は大人しい設定ですが……。ていうか、出てくるキャラが固定化してるし……。逆は―になってない(汗)
 ちなみにタイトルの意味は、三上と、彼らが施された拷問と、翼姫の行動について言っています。ただの気まぐれ? 本当に……??(ちょっと謎掛け風)
 次回、ヒロインと彼らは、不思議なつながりを持つことに……。