光徳と一緒に、指名が入った席まで来ましたが……
あ、何だか年若いお客様がいっぱいいます。
Case3:The secrets of the wink killer.
「皆―、今夜も可愛いでv」
「「「きゃーーーっ、ノリックvvvv」」」
「皆、今夜は僕のお気に入りの後輩、を連れてきてん。仲良くしたってやv」
「ど、どうも……自分、って言います」
「クン? よろしくーv」
「ノリックの後輩なのー? 女の子みたいで可愛いーv」
「あ、あはは……」
ノリックのお客さんは、私と年齢の近い子ばかり。いつ女だとばれるか、ひやひやもんだ。でも、その分すごく話しやすい。話す内容も、ぽんぽん口から出てくる分、他のお客よりもはるかにやりやすかった。
……が。
「、ドリンク作れるか?」
――にぎっv
「えっ!?」
「手、震えとるけど……大丈夫か?」
「だ、大丈夫っすよ!!」
「、お前の髪の毛って、めっちゃ綺麗やね〜v」
――さわっv
「ひっ!?」
「うーん、さわり心地最高やv 皆もそう思わへん?」
「そ、そんなことないっすよ……」
これはアレだ……。絶対に光徳、わざとやってる……。
ていうか光徳の接客方法は、めちゃめちゃ「ボディタッチ」だし……。
「やんv ノリックってば、どこ触ってんのー?w」
「すまんすまん、君があまりにも可愛かったもんだから、つい手が出てもうたv」
「ええっ、ノリック! 私にも触ってよー! ほら、ノリックのために、髪のお手入れ頑張ってるんだからv」
「マジで? そんな嬉しいことばっか言うてると、僕、吸血鬼になってまうよ?」
「きゃぁっv ノリックにだったら、いつでも血吸わせてあげるv」
「…………セクハラ」
ぼそっと呟いた私の声は、誰にも届かず。……ボディタッチは私には無理です。
早々にヘルプから立ち去ろうとした時、ふとノリックが私を呼ぶ。
「、こっち向いて」
振り返った私の眼に飛び込んだのは、初めてノリックを見た時に彼が放った「殺人ウインク」。星が飛び散るような、音のするようなウインク。
「っ……!!!」
ウインクキラーと言えば光徳。
ヤバイ!! これをもろに喰らうと、眩暈がするんだった……!!
私はふら付きながら、ソファーに倒れこむ。
「きゃー、クン! 大丈夫??」
お客さんに心配されながら、薄目で光徳を見つめる。
にっこりと微笑みながら、彼は言った。
「これが僕の、接客の極意やv」
……よーく、分かりましたとも。
ウインクキラーの極意、身を持って体感です……。
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はい、ウインクキラーに殺られたヒロイン様。お気は確かですか?(笑)
次はおまけ的な感じで、エピローグがあります。さてさて、結局のところヒロインは……?