第3章 「甘党たちの激辛対決





「いっただきまーす☆」
「……」
 僕は今、都内某喫茶店にいる。と言っても、もちろん一人じゃない。パートナーの麻衣とその
ただの知り合い…の佐伯巴里と一緒だ。
「……相変わらず甘党ね」
 麻衣が溜め息混じりに呟いたこの言葉。もちろん僕に向けられたものではない。
 僕も自他ともに認める甘党ではあるが、この男も半端ない甘党のようだ。チョコバナナパフェ(特盛)を、おいしそうに頬張っている辺りからそれを伺える。
 僕はこいつと同じ物を頼むのが癪だったので、コーヒー(砂糖五本)で我慢していた。麻衣はいつもと同じストレートティーである。
「麻衣、何か文句あんの?」
「いえ……何でもありません」
「……」
 む〜……何で麻衣はこんな奴に従っているんだ?!
 僕は何だかとても悔しくなった。
(僕が言ったら怒るくせにぃ〜!)
 しかし、そんな僕に見向きもせずに、麻衣は巴里(呼び捨て)の質問に、
一方的に答えていた。そう、決して楽しそうにお喋りしているわけではない。麻衣は、仕方なく答えているのだ。
「義高? 顔色悪いけど大丈夫……?」
「へ? あ、ああ……」
 麻衣が心配そうに僕の顔を覗き込んだので、僕は慌てて平静を装った。
 しかし心の中は、五十年に一度来るか来ないかの大嵐のように荒れているのだが。
「あ、僕ちょっとトイレに行ってくるね」
 僕は出すもの出して、少し気を取り直そうと考えた。麻衣と巴里を二人きりにするのは忍びなかったが、そそくさと席を立ったのだった。
 その時、ふと佐伯巴里と目が合った。
 その瞬間奴は不敵に微笑むと、口をパクパクさせた。
「っ……!!!」
 僕はそのままブチギレそうになったが、辛うじて踏み止まった。
(くっ……くそ〜っ!!)
 僕は悔しさと腹立たしさで煮えくり返りそうな腸を押さえて(え?)トイレの方へと全力疾走した。
 途中、ウエイトレスやウエイターにバンバンぶつかったが、そんなのおかまいなし、無視して走り続けた(最悪な客)









 口パクで奴が言った(であろう)言葉。

――――『負け犬』

 ま、負け犬だと!? 僕のどこがそう見えるんだよ!?
 僕は悔しさで溢れた涙を拭くため、トイレの個室を思いっきり開け放ち、そこですごい勢いで鼻をかみ、用を足した。途中、ドアの鍵を閉め忘れていることに気付いたが、もう時既に遅し。小さな子供が、僕を指差しながら走り去った……。

 ああ、あの子はきっと母親に「あそこのトイレにおかしなお兄ちゃんがいるよ!」って喚き散らして、その母親は決まって「○○ちゃん! もうあそこに一人で近づいちゃ駄目よ! 早く出ましょうこんなところ! 店員さん! トイレに変質者がいるみたいなんで、気をつけて見ていてくださいよね!」とか何とか言うんだ。そして店員が見に来て、僕の姿を見つける。僕が普通に鍵を閉めていれば、何事も無かったかのように時は流れるんだろうけど、僕がまだ鍵を閉めていなかっとしたら、僕はそのまま警視庁の仲間に捕まえられてしまうだろう。いや、最悪なパターンは、麻衣たちに捕まえられてしまうことであり、それだけは避けたい。
 ……僕はどうしてこんなしょうもないこと考えているんだろう。今はこんなこと言っている場合じゃないんだ。このムカつきを抑えることが先決だ。そうだ、今からあいつへの恨み辛みを全て吐き出そう! そしてこんなドロドロ流れてしまえ! ゲーロゲロっと。

 まず、僕たちが今何故ここにいるのか、どうして僕がこんなにも不愉快な思いをさせられているのか、その理由はこうだ。(かなりの脚色あり)
 僕と麻衣が、ゴキと熾烈な戦いを繰り広げている最中、奴――佐伯巴里が乱入してきて、にっくき敵であるゴキを仕留めてしまったところから始まる。
 僕があんなに勇気を振り絞って戦っていたのに、巴里のおかげで僕の面目丸つぶれだ! というか、僕の華麗なる美技が台無し! お前用無し! ザワーリー役無し! って感じだ。(意味不明)
 そして、何とその男――巴里は、麻衣の知り合いだという! 麻衣は最初に奴を見た途端、凍りついたように(いわゆるフリーズ)動かなくなってしまったんだ。これは一体何を意味しているのか、あの時の僕には想像も付かなかった。
 麻衣はしばらくのフリーズの後、何と奴の顔や身体にぺたぺたと触り始めたではないか! 僕は麻衣をそんな破廉恥な子に育てた覚えはありませんよ! (育てられた覚えもないだろ)しかも麻衣は、「本当に巴里なのね…」と至極嬉しそうに、スマイルくださいよろしく笑顔で「お帰りなさい!」と言ったんだ! 僕は「てか誰?」と繰り返し呟いていたのだが、そんなのはことごとく無視され(麻衣ではない――奴にだ)奴の「甘いもの食べたい」発言に何故か素直に従ってしまう麻衣が、この喫茶店へ案内してしまったのだった!!
 僕なりにこの男について考察してみたが、麻衣がこんなにも従順になる要素は見当たらなかった。

 顔……確かにそこらのアイドル顔負けの整った、それでいて少年のようなあどけなさを残した顔付きではある。
 その金髪碧眼は、確かに異様で人目を引くが、それは決して嫌悪から来るものではなく、むしろ人々からの羨望、好奇、憧憬の視線だろう。(何故僕は奴をこんなにも持ち上げているのだろう……?)
 でも、だからといって麻衣が従順になる必要性は全くない。これくらいの輩、どこにでもいる。
 例えば僕とか。僕とか! 僕とか!! 
 僕のどこも奴に劣っていないのは周知の事実だが、あえて言わせてもらえば、僕の方が断然カッコイイ! 
 だってそーだろ? こう見えても僕は、T大法学部法律学科を卒業(法学部の中ではトップと名高い名門大学)し、更にそのままストレートで第一種国家公務員試験をクリア。通常なら交番勤務のところを、特別免除を受け、すぐに東京警視庁捜査一課に配属されたという素晴らしい経歴を持っているんだ。まあ、現在は麻衣と共に特別捜査課に配属されているが、ここも捜査一課に負けずとも劣らぬ優秀な課だ。むしろ捜査一課以上だと感じることもしばしば。そういうわけで、麻衣もかなり出来る女なのだ! うん。
 しかし……僕は彼女の経歴を知らない。彼女から話すことはないため、僕から聞くのも何か憚られるものがあって聞けないでいる。でももう仲間なんだし、出来れば何でも話して欲しいのに……というのが僕の本心だった。

 で、話を元に戻そう。僕が何故、佐伯巴里に不愉快な思いをさせられているのかと言えば、麻衣の「お帰りなさい」事件の直後に起きた出来事だ。麻衣がお茶を入れに席をはずした時、それは起きた。
 
「……いつまで腰抜かしてるつもり? お客を前にして、失礼だと思わないの?」
 突然佐伯巴里から声がかかった。
「え……あ、ああ! ごめんなさい!」
 僕は反射的にそう答えた。確かに失礼だったよな。いけないいけない。
 そんな僕を無表情で見ながら、奴は続ける。
「で、アンタが噂の北林義高? 最近特捜課に配属されたっていう――」
「そ、そう! 僕のことだよ! いやー、有名になってたんだ?! あははは」
 僕は奴が言い終わる前に自分で言った。
 こんなに有名になってたんだ!
 僕は歓喜に打ちひしがれていた。今すぐにでも踊りだしたい気分だった。
 踊るか……? いや、さすがにここではまずいよな……やめておこう。
 しかし、そんな僕に奴は笑いながら言った。
「確かに……大して実力もないくせに、特捜課に配属された新人って有名だよね」
「なっ! そんな……」
「まあ、ゴキブリ一匹で腰抜かしてるなんて、刑事はもちろんだけど、男としてもかなり最低なんじゃない? 二人で逃げ惑って、ばっかみたい」
「……」
 僕は開いた口が塞がらなかった。あまりの言われように、言い返す言葉も見つからなかった。
「巴里、お茶淹れたわよ」
 麻衣がお盆にお茶のポットと、三つ分の湯のみを乗せて台所から戻ってきた。
 僕は何も知らない麻衣に、何とも言えない表情を向けた。
「義高? どうかした?」
 麻衣が訝しげに僕を見つめる。しかし、それも長くは続かなかった。
「麻衣、早く席に着きな」
「え、あ、うん」
 佐伯巴里に促されて、麻衣は僕から視線を逸らし、いそいそと席に着いた。
 そんな麻衣と僕を横目で見ながら、奴はほくそえんでいた。

 コイツは絶対……僕の敵になる男だ!!!
 そう確信した時には、もう既にコイツとの熱き戦いは始まっていたのだ。

 その後の僕は、どこからどう見ても可哀相な青年だった。
 麻衣は僕のことなど忘れてしまったかのように、矢継ぎ早に佐伯巴里に色々な質問を投げ掛けている。
 そんな麻衣に苦笑しながら、「後でゆっくり話してやるから落ち着きなよ」と諭すのは奴。
 僕は二人の会話についていけなかった。何のことについて話しているのかも分からない。というか、コイツの正体すらよく分からないのだ。多分、警察関係者なのだとは想像が付くが……。
 そして、奴がふと漏らした「甘いもの食べたい」発言を聞いた麻衣は、すぐさまこの喫茶店へと向かった……という流れだ。

 喫茶店へ向かう道のり……麻衣が運転する車の中も、僕にとっては最悪最低としか言いようが無かった!
 何故か知らないが、助手席は僕の定位置だったはずなのに、僕がそこに座ることは叶わなかった。奴だ! 佐伯巴里が僕を押しのけるようにして、さも当たり前のように助手席へ滑り込んだからだ!! 
 僕は麻衣が何か言ってくれるのを期待したが、それも無惨にも裏切られる。麻衣は特に気にした様子もなく、後部座席へ渋々と座る僕を見やると、そのまま車を発進させた。くぅっ…………麻衣にとっては、助手席なんて誰が座っても関係ないのかもしれないけど……っ。
 運転中も、巴里に色々なことを尋ねる麻衣。その表情はとても楽しそうで…………普段あまりはしゃぐことの無い麻衣が、珍しくはしゃいでいた……ように見えた。ますます、この佐伯巴里という男が何者なのか気になった。
 ……もっとも、僕は終始無言状態。
 いつもなら気に掛けてくれるはずの麻衣も、今は隣に座るコイツのことで手一杯なのか、僕の方を見ることさえしなかった。うぅ、酷いや。
 そんな僕に気付いているのかいないのか、助手席に悠然と座る佐伯巴里は、不敵な笑みを浮かべ続けていた。

 そんなわけで、今に至るのだ。
 昨日までの平穏が、一気に崩されたような、言いようの無い喪失感。
 全部アイツのせいだ! くっそーーーー!! アイツには絶対負けないからなーーーーー!!!!
 僕は決意を新たにすると、最後にもう一度、思いっきりトイレットペーパーで鼻をかみ、勢い良く洗浄レバーを押し込んだのだった。









「はぁー……すっきりした」
  僕は幾分かスッキリした表情を浮かべ、トイレから出た。すると目の前には奴−佐伯巴里がいるではないか!
「●△※■%¥!?」
 僕は解読不可能な奇声を上げ、白目を向いた。そんな僕を嘲笑うかのような口調で奴は言う。
「アンタに特捜課は務まらないよ」
 この言葉を聞いた僕は一気に我に返った。ふつふつと怒りが込み上げてくる。
「き、君にそんなこと言われる筋合いないねっ! 一体なんなんだよ!」
 すると奴はスーツ(アルマー二だ…くそ、僕なんて上下で二万九千〜なのに!)の胸元から、カードのようなものを取り出し、僕に見せる。
「……警視庁特別捜査課 兼 捜査一課警部補…………えぇ〜〜っ!?」
 コ、コイツが新しく配属された……
 僕は思わずそのカードを落としそうになった……が、奴の手の方が早くそれを掴む。
「ま、アンタと麻衣とは同い年だけど、ボクは去年の暮れからイギリスに研修しに行ってたからね。知らないのも無理ないと思うけど。アンタはその時交番勤務だったろ? でもまあ、一年で刑事に上がれたのはそれなりにすごいよね」
 奴はここまでを一息に言うと、ふぅと溜め息をつく。
「でも、だからって特捜課は荷が重いと思うけど? 第一桜山荘での解決劇見せてもらったけど……はっきり言って全然大したことないよね。麻衣はすぐ犯人に捕まるし、アンタは佐田? 達を止められない、犯人が近くにいても気付かない、下手くそな演技に簡単に騙されるわで、有り得ないよ。とにかくこんな二人が特捜課を担っていくなんて、本当先が思いやられる。あー最悪」
 その時、僕の中で何かが切れた。僕はきっと奴を睨み付ける。
「……さっきから黙って聞いてりゃいい気になりやがって! 僕はね、交番勤務は免除されたんだよ! ただちょっとした一身上の都合で……って、麻衣を侮辱するのはもちろん許せないが、僕までそんな風に言われるのは実に腹立たしいよ!  君に僕等の何が分かるんだ!?」
 僕が鼻息荒くそう怒鳴ると、奴は不敵に笑った。
「……分かるよ。アンタのことはさて置き、麻衣のことならね」
「な、何だと……?」
「そのままの意味。アンタよりも麻衣のことは分かってるってこと」
「……君は麻衣の何……?」
 僕は堪らず聞いた。こいつと麻衣は一体どうゆう関係なんだ? 気になる……だけど、何故かその答えは聞きたくない気もした。
 奴はそんな僕に笑顔を向ける。……とてつもなく、胸くそ悪い笑みだった。
「……気になるんだ?」
「…………」
「別に恋人とかそんなんじゃないから勘違いするなよ。そんな安い関係じゃないから」
 恋人よりも高い関係なんてあるのかよ?!
「じゃあ一体――」
「ベストパートナー」
 僕が言い終わるよりも早く、奴は言った。
 はっ? ベストパートナー!?
「ちょっ……ちょっと待ってくれ! どうして君が!? 今、麻衣のパートナーは僕だよ! 君が出てくる場合じゃないんだ!」←むしろお前の出てくる場合でもない。
「……アンタって本当に幸せだね。自分が本当にアイツのパートナーだと思ってるわけ?」
 僕は胸を極端に張りながら、言い切った。
「ああ!」
 奴はこの言葉を聞くと、急に黙りこくった。ふふんっ。どうやら僕には勝てないと感じたようだな。
「くっ……プハハハハハッ!」
 突然吹き出したのは奴だった。僕が「コイツ、頭イカれたのか?」と本気で心配したくらいに大笑いしている。
「き、君……そこまでショック受けなくても……」
「アハハハッ! アンタって本当にお気楽な人間だね。ホント、おかしいよ!」
「はっ?」
「所詮アンタはボクの身代わりなんだよ。麻衣とパートナーを組むことになってたのは、ボクなんだから」
「え……」
「そのためにイギリスに渡って腕を磨いてきたんだ。アイツと組むためにね」
「なっ……そんな……」
 僕はあまりのショックに、意識が飛びそうになっていた。
 そんな……じゃあ麻衣は、コイツがいない間の埋め合わせに僕と組んでるっていうのか……?
「あ、もちろんそんなの麻衣は知らないけどね。麻衣はただ研修に行ったと思ってる。じゃなかったら、アンタをパートナーにするはずないし」
「……」
「でももう終わりだね。ボク帰ってきたし、アイツが……唯一の理解者だったオレを選ぶのは分かりきってるしね」
「……」
 僕は無言のまま奴の脇を通り過ぎようとした。
 これ以上話しても意味がない。麻衣が一人で暇してる方が気の毒だ。
 奴は、僕が通り過ぎる瞬間静かに囁いた。

「特捜課から追放してやる」

「……」
 僕は殴りたくなる衝動に駆られたが、店で騒ぎを起こすわけにもいかないので、そのまま無言で立ち去った。
 しかし心の中は、血の雨が激しく降っていた……。



「フッ……ちょっと意地悪しすぎたか」
 巴里は大きく肩を竦めたが、やがて勝ち誇った笑みを浮かべ呟いた。
「さあ、どう出る? へっぽこ刑事サン」






「遅いよー」
 麻衣が膨れっ面で僕を軽く睨んだ。僕は慌てて笑顔を作り、小走りに席へと着く。
 佐伯巴里は……、まだトイレから戻って来ない。今がチャンス! 僕は水をがぶがぶと飲み(げ! 氷まで飲んじゃった!)氷を詰まらせながら勇んで言った。
「ね、ねえ麻衣!  ごほがはっ! あいつ……佐伯巴里とはどーゆう関係なの!? げぶっ! かーっぺ!」
「義高……汚い」
 麻衣は僕におしぼりを手渡すと、大きく溜め息をついた。
「……巴里はね、同期入社の友達なの。しかも砂原警視の弟よ」
「ぶえっ! お、弟〜〜っ!?」
 僕は堪らず口に含んだ氷を吐き出した。前の席のカップルの男性の頭にもろにかかる……が、僕は敢えて気にしなかった。いや、むしろそれどころではなかった。
 ブラザーかよ? しかもあの警視の? まじありえないからっ。
 しかし、麻衣はそんな僕を尻目に淡々と続ける。
「巴里とは入社式の時に出会ったんだ。研修もずっと一緒だった。でも私は、特捜課なんかに配属されちゃって…………その時は警視が直属の上司だったから、巴里も私のこと気にかけてくれてね。捜査一課に配属されても、頻繁に連絡くれたの」
 ここで麻衣は一旦話を切ると、奴が座っていた席を見つめた。
「……巴里は……私の秘密を知る唯一の友達だった。彼がいたから私はやってこれた……」
「そうなんだ……」
 佐伯巴里。僕は大嫌いだが、麻衣にとっては大切な人間なんだと悟らざるを得なかった。
 ……なんかすごい悔しい。麻衣の一番の理解者であり、友人であるのは僕だと自負していたのに。麻衣はやはり今でも奴の方がいいのか……?

 僕は不安になった。
 麻衣がもし、もう僕を必要としなくなったら?
 パートナーを解消したら、僕は捜査一課に戻れるのか?
  もしかしたら、もう永久的に刑事職を追われてしまうかもしれない。 
 背中を冷たい汗が流れ落ちた。

「ま、麻――」
「あんの男ぉ〜! 久々に会ったと思ったらもうこれ!? 信じられない!!」
 突然、僕の言葉を掻き消すような、麻衣の怒りに満ちた声が響く。
 麻衣は怒りで震える手で、携帯を握り締めながら僕にメールを見るように促した。
「何々……え!?」
 僕は目が点になった。
 まさか、ここまでとは……
「巴〜里ぃ〜〜っ!!」
 麻衣は怒りに震えている。メールの内容を見れば当たり前かもしれない。あいつは一体何様のつもりなんだ?
 僕と麻衣は、しばらくの間そこから動けなかった。


『――――警視監や兄貴への挨拶あるから先に行く。パフェ代払っとけ』





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 巴里っこ、本格的に参戦してまいりましたー。金髪碧眼なんて、嘘みたいな美青年の彼。ま、義高も美形なんですがね。一癖も二癖もある巴里っ子に義高は一体どうするんだよ!?
 甘党の男……最近急増中な気がするんですけど気のせい? 自分がお茶で、相手がパフェって……なんかすごく複雑な気分になる時がありませんか? ちなみに桃井は、コーヒーはブラック、紅茶はノンシュガーです。じゃないと飲めないんです(涙)なので、義高とかありえません(自分で書いておいて何を言う)でも、男って太らないんだよなぁ……羨ましい。ていうか、義高。今回、かなり壊れてますね……。彼は自分の視点で書くとかなり痛い人になっちゃいますが、麻衣視点においてはそうでも無いんですよね。ということは、傍から見るだけだと何ら普通の美青年ってことです。美味しい奴め……w
 次回は場面転換。懐かしの(?)あの人が登場? +童顔ロリータちゃんも出てきたり??