終幕〜繰り返される悪夢〜
「がーっ!! 全然分からん!! おばあさん、降参!!」
「ふ〜……やっぱりお主にはちと荷が重すぎたようだのう」
「ああっ。僕でも解けない問題があるなんて……ザワーリーショックだな……(遠い目)」
「いや、あんた……υυ」
「なんだよ!」
いつしか僕は逆ギレしていた。
「何なんだよ!? そもそもお前(!)が変な質問してくんのがいけないんだろ!? ああ笑いたきゃ笑えよ! 腹抱えて笑えよ! 白目向いて笑えよ! 死ぬまで笑い続けてみろよ!!」
「……やっぱりお主には無理じゃよ――」
僕がキレている時、老婆が何か呟いた。
「――殿……今回は人選ミスですぞ……」
「お前何か言ったか?」
僕は老婆をお前呼ばわりして聞いた。
「もうお主に用はない。もう一度出直してくるがいい」
「はっ?」
なんだと!? もう僕に用はないだってーっ!!? ふざけんのもいい加減にしろよ! お前がここで団子売ってる事自体がそもそも間違ってんだよ!! この死に損ないのババアがよ!! なめた口聞いてんじゃねえよ!!
「おいっ! 一体どうし――」
「さらばじゃ愚人よ……」
「えっ――」
最後の言葉を聞いて、僕はふと我に返る。
(そういえば僕、こんな事してて良かったんだっけ?)
その時――
「あれっ……」
急に立っていられない程の眩暈を感じ、僕は思わず屈みこんだ。
『義高……』
女の子が僕を呼んでる……
でも……誰なのかは思い出せない……
ただ、とても大事な人に思う……
一体何を忘れているんだ? 何も思い出せない……
真っ暗な闇の中で、僕は自分の記憶が段々薄れていくのが分かった。
(もう駄目だ……)
こうして僕は、意識を失った……
「――い……たか……きろ――」
「ん――うん……?」
「お・き・ろ!!」
「ん……えっ――お、大塚先輩!?」
気付けばここは、紛れも無い「捜査一課」であった。
「そんなに驚くなよ……お前が居眠りしてるなんて、珍しいな。疲れが溜まってるんじゃないのか?」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
そう言ってから僕は、自分が全身に物凄い汗をかいているのに気付く。
「なんかあんまいい眠りじゃなかったみたいだな……」
「はは……そうみたいですね……」
僕は苦笑しながら、先輩にお茶を入れようとした。が、先輩は今から出かけるらしい。
「じゃあ後は頼むぞ」
「はい。気をつけて」
先輩を見送った僕は、溜まっている仕事を片付けるため居眠りしていた自分の机に戻った。
「ええっと……書類は……と――うん?」
書類を探している途中で、僕は何かの雑誌を見つけた。
(何だこれ?)
よく見ると、何か観光地等の特集が載ってるやつみたいだ。
「どれどれ……何……温泉宿特集か――目玉は桜山荘……」
言い終えてから僕は、何か言い様のない胸騒ぎがした。
(桜山荘……)
桜山荘という言葉に言い知れぬ不安が漂う。
僕は雑誌を読む事にした。
「桜山荘の歴史……か」
――そして数分後……
「なんだ。たいしたことなかったな」
口では強がっているけど、どうしても不安がなくならない。
(くそ! 一体何なんだ?)
僕がそう思った時である。
――プルルルル プルルルル――
「ん……電話?」
そして僕は受話器に手を伸ばした。
「もしもし? こちら捜査一課です……」
――終――
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■あとがき+サクラ小話■
どうもーこんにちは☆桃井です。
いやー、こんな終わり方あってたまるかっちゅーねん的な終わりですね、コレ。
でも、私個人としては、こういった夢オチ(?)とか好きです。何ていうか、現実に起こりそうで起こらない感漂ってるところが(謎)
とにかく、このエンディングは、実はこの「桜山荘殺人事件」を書いた時、一番最初に出来上がったもので、一切直しを加えてません。
少し……というか、かなりのぶっちゃけになりますが、実はこの物語、今から5年前に書いたものなんですよ。高校時代に……(遠い目)
で、今までずっと封印してたんですが、友人たちの強い勧めがあった……かどうかは忘れましたが(笑)、とにかく日の目を見せてあげたい、あんなに頑張って書いたんだから!
という思いから、このサイトが生まれたんです。。。。結構深いでしょ?
一応、当時のままを基本にしてますが、何せ高校生なんて青い時に書いたばっかりに、ところどころ意味分からない表現があったり……そういうところは、加筆修正しています。
でも、この「繰り返される悪夢」は、この副題まで一切の変更がないので、色んな意味で思い入れが強い話ですね。
さてさて、そうは言いましても、このエンディングじゃあ、到底真相にはほど遠いですね(笑)
頭の体操を再チャレンジして、是非是非この先にある真実に、義高・麻衣たちを導いてあげてください☆
とりあえず、第5章、6章を早急にアップしたいと思う今日この頃……。
ではではまたvvv
2005/9/24 桃井柚