パソコンの電源を落とし、ふと我に返る。
 ……私、ゲームに逃げてる場合じゃなかったんだった。

 でも、どうしていいか分からない。
 こんな時、何でも相談出来るような友達がいない自分が悔やまれる。
 ……いや、後悔は無い。
 だって、義高だけを見つめ続けた結果がこれなのだから。
 後悔なんて、無いはずなのに……。

 ふと、ときまほのパッケージが目に留まる。
 そう言えば、あまりよく見ていなかった。
 何気なく手に取った瞬間、さっき感じたデジャヴの正体に気付いた。

「一緒だ…………」

 そう。
 高城君の名前を思い出した時、どこか身近に感じたのは、彼と一緒だったからだ。
 彼……もとい、ゲームのキャラクターである「高城 静」と。

 これはただの偶然だろうか。
 それとも……。
 
 ……何を考えてるんだろう。
 そんなの偶然以外にはあり得ないのに。

 このゲームは同人じゃない。
 素人の作った作品じゃない。
 有名な声優さんだって出ていて、絵だってプロが描いてる。

 じゃあライターは誰?
 製作会社は? これがデビュー作じゃなかった?

 疑問と不安が次々と沸き上がる。
 不安? どうして?
 自分でも何故こんな気持ちになるのか分からない。

 ただ、何故か自分の中の何かが暴かれているような。
 誰かに何かを覗かれているような。
 そんな気がしてならない。

 パソコンを立ち上げ、ライターの名前を検索する。
 そこには、数々の作品を手掛けてきた有名なライターであることを証明する数多くの結果が表示されている。

「あは……そうだよね……私、何やってるんだろう……」

 独り言と共に、乾いた笑いが零れる。
 本当に、どうかしてる。
 それもこれも、今日の出来事によるものだって分かってる。

――――Aはきっと……本気だから。
――――本当に好きなことを好きって言えない相手なんて、一緒にいて幸せ?

 高城君の言葉と、Aの言葉がぐるぐると回る。
 
 Aの本気って何?
 好きなことを好きって言わないと、幸せじゃないの?

――――……柚って呼んでもいい?

 どうして? 何で私に構うの?
 義高のことを好きなんじゃないの?

――――……またな、柚

 どうして……どうして、また、なんて言うの?
 Aは一体、私をどうしたいの……?

――――ちゃっちゃらっちゃらっちゃらっちゃ〜〜♪(ときまほのOP曲)

「っ…………」

 いつもは嬉々として飛び付く着信音。義高専用の。
 ……でも、何故か今は、身体が動かない。

 着信音は鳴り続けている。

 どうする……どうする私……!

 悩んだ末に私は……
1.電話に出る
2.電話に出ない



 エピソード16へ続く……!!


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作者から一言***
 色々やらかした感があるけど私、後悔してない! とどや顔で言ってみる(笑)これも愛故! とりあえず、後は任せた青さん!!( ´∀`)/~~