――5月

 あの事件(?)があってから、私は魔法の怖さと大切さ痛感し、勉強に勤しむようになった。
 それで、門を叩いたのが『魔法陣研究部』。
 部員は少なかったけど、皆各属性のエリート揃いで驚いた。
 中でも一番驚いたのは……

「あれ? 優子ちゃん?」
「……? ああ、あの時の……」
「え……!?」

 何と、あの時私を助けてくれた先輩たちがいたのだった。
 二人はこの部のメンバーで、宮田会長にいたっては部長を務めているらしい。

「優子ちゃんって水属性?」
「は、はい……」
「よっし! これであといない属性は星だけだな、晋也」
「そうですね」
「あの……私、あんまり魔法使えないんですけど……」
 恐る恐る尋ねると、宮田会長は笑った。
「アハハ、全然問題ないって。これから覚えていけばいーし! まだ一年なんだし、一緒に頑張っていこう」
「はい……」

 それから私は、魔法陣研究に没頭していった。
 部員の皆は、とても親切だし、誰も私を冷めてるだなんて言わない。
 いや……もしたしたら、本当に楽しかったから、性格も明るくなれたのかもしれないけど。

「炎よ踊れ――炎舞」
「……すご…い……」
 特に、会長の魔法は、どれも凄くていつも見惚れていた。
 学園切っての天才と言われ、全ての部門においてトップの成績を誇っているらしかった。
 しかも性格も良くて、容姿端麗……。全校生徒の憧れの的になるのも無理はない。
 一度、そのことについて話したら……

「アハハ、買い被り過ぎだよ。生徒会長も、何となく引き受けちゃっただけだし、魔法に関してはオレなんかよりも、よっぽど晋也の方がスゴイしね」

――そんなこと、ないです。貴方は本当に凄い。

 会長は、あんまり面白いことも言えない私にも、分け隔てなく接してくれる。
 会話だって、盛り上げることなんて全然出来ないのに、それでもいつも話しかけてくれる。

「晋也、この魔法陣なんだけどさ――」
「宮田先輩、ここはこの図式が成立するんじゃ――」

 私は、いつしか会長の姿を目で追うようになっていた。
 特に、会長と杉原先輩のコンビが好きだった。
 いつも完璧な会長が、杉原先輩の前では子供っぽくなるところとか、見ているだけで楽しかった。

 大嫌いだったはずの火も……いつしか嫌いじゃなくなってた。