――舞台裏にて

、久しぶりv」
先輩、こんにちは」
「有紀! みゆきちゃんも!」
「今回だけ、助っ人に借り出されたのよ。のお姫様姿、やっぱり可愛いわね〜」
「ホントです! いいなぁ先輩は何でも似合って……」
「あはは、ありがとう! でも良かった、今回は女一人じゃなくて。いっつも一人で寂しくて」
「狼たちの巣に、一人で置いておくわけにはいかないもの。今回は私が目を光らせてるから安心して!」
「わ、私も、微力ながらお手伝いさせていただきます!!」
「二人こそ、変なことされそうになったら、大声出してね? 玲ちゃんに言いつけるからv」
「「了解(です)!」」

――結束力が強くなった女性陣。

「……楽園(えでん)だ……楽園が見える……!!」
「おい、渋沢……お前目がヤバイ……」(三上)
「ついに……ついに王子役を勝ち取ったぞ!! ――っ!! ついに神は俺たちの愛を認めてくださったんだな!! ハハハハハ」
「こんな老けた王子もどうかと思うがな……」(水野)
、コイツが相手で大丈夫か?」(結人)
「ちっ。渋沢は効果音でも出過ぎなくらいだって言うのに。
奴の命日は今日に決定でしょ」
「英士……マシンガン構えて笑うの、マジでヤメてくれ……胃が痛い……」(一馬)







『眠れる森の美女』――前編







――イントロダクション
 今回は、僕、吉田光徳ことノリックがナレーターを担当するで。皆、しっかり頑張ってやー。ではでは、始まり始まり〜。

 
むかーし、むかし、ある国の王様と王妃様の間に、一人の女の子が生まれました。

「何て、何て可愛いんやー!! もう絶対に嫁には出さん!!」
「……確かに、本当に可愛いな」

 
関西弁のサル王様と、無口でクールなデカイ王妃様は、その姫を「」と名付けました。ていうか直樹クンが王様って、なんやホンマに似合わへんね〜。天城クンも、王妃様とは間逆の方向にいる感じやし……めっちゃ配役ミスやん。この二人から、ちゃんが生まれるっていう設定が、あり得ないを通り越して、いっそ気味悪いわ〜。
 
そうですね。サル顔の王様と、図体の馬鹿でかい王妃から、あのように可憐な姫が生まれるはずがないですもんね。

「ノリック! お前ナレーターのくせに、文句ばっか言うてんやない! 話さっさと進めとき! っていうか笠井!! お前もちゃっかり混ざってんやない!!」
「俺だって好きで王妃の役になったんじゃない!」

 
はいはい。すんまへんでしたー。んで、彼女の誕生日パーティを国を挙げて、盛大に執り行うことになったのです。王様と王妃様は、妖精たちをパーティに招待しました。妖精たちは、プレゼントと称し、姫に魔法を掛けてあげました。ほら、妖精さんたち、出番やでー。

姫様、お誕生日おめでとうございます! 僕、風祭からは『素直な心』をプレゼントします」

――ぴろぴろりーん(効果音:笠井)

 
……何や、しょぼい効果音やねぇ。ま、ええわ。はい、次つぎ。

「え! わ、私ですよねっ……(キャー、風祭先輩の後ろだ!!)え、ええっと、先輩、お誕生日おめでとうございます。私、桜井みゆきからは『乙女の純情』をプレゼントしますっ」

――ひゅーるりー

 
お、乙女の純情……? また、偉いもんプレゼントしよったねぇ。ていうか効果音が、突然淋しくなってる気がするねんけど……。
 
気のせいですよ。気のせい。
 
そうかい……あ、次どうぞ。

「ん? 次は俺か。そもそも、誕生日とは言え、このようなウルサイ場所に、生まれたての赤ん坊を連れてくるのはどうかと思うのだが。しかも、この世には魔法などは存在しない。それにもかかわらず、風祭や桜井はいかにも本当にあるかのように考えているところは、俺としては全く理解が出来ない。この世には――」

 
あー、不破先生? これ一応、本番中なんで、もうちょっと周りの空気を読んでもらいたいんやけど……。何でもいいから、とりあえず台本通りに頼んますわぁ。

「お、そうだったな。すまん。、俺からは『洞察力』『探究心』そして、この「白衣」をやろう」

――ずるっ すってん!

 
思わず脱力してまうプレゼントやねぇ。白衣って先生……お姫様はこんなん着る機会無いんとちゃう? ていうか笠井クン……『ずるっ すってん』って効果音、何やの……?
 
バナナを踏んで転ぶくらいにはおかしかったかなと思って。
 
……君の感性のがおかしいとちゃう?

「おい、ナレーター。さっきから余計な言葉多すぎなんだけど。お前がそんなんじゃ、まともに話が進まないだろ? しっかりしろよ」

 
そないなこと言われてもなぁ。関西人としては、コイツらのボケには突っ込まんではいられへんのよ。堪忍や。椎名クンには突っ込まれへんから安心してや。

「ったく……。まあ、別にいいけど。、ハッピーバースデー。僕からはお前に『統率力』と『頭の良さ』をやるよ。あ、それとおまけでコレも――(ちゅっv)

(なっ……!////)
(しーっ、静かに。周りにバレるとウルサイからね。フフッ、ご馳走様)
(翼のバカー!)


 
ん? 何やちゃんの顔赤いけど、どうかしたん――っておい、笠井クン!? 君何手裏剣構えとんの!?
 
今、妖精4に不穏な動きが見られたんで、つい。
 
不穏な動き? 僕は何も見えへんかったけど……
 
……椎名さん、他の人間の目は誤魔化せても、俺の目は誤魔化せませんから。次は無いですよ。

(翼……何竹巳と睨み合ってるのよぅ。早くそこ退かないと、次が詰まっちゃうよ)
(……お前はホント、罪な奴だよ)
(へ?)


 
うーん……何やよう分からへんけど、とにかく次来てや。もう一気に五人くらい来てええよ。

「うわぁ、吉田のやつ、何て投げやりなの……ま、いいけど。、お誕生日おめでとう! 私からは『女のぶりっ子と涙』をあげるわ。これさえマスターすれば、この世では楽に生きていけるわよv」
「小島……お前、そんな夢も希望もないこと言うなよ……。、誕生日おめでとう。俺からは――」
「ヘタレをあげるってか?w」
「なっ!? 若菜!! ふざけんなよ!」
「あ、これは一馬のモンだったな! 悪い悪いww」
「結人!! いい加減にしろ!」
「おいお前ら……どうでもいいけど早く進めろよ。翼と笠井が睨んでる」(柾輝)
「わ、悪い……。、俺からは『信頼』をやるから」(水野)
「(水野……お前とはホント気が合いそうだぜ)、誕生日おめでとう。俺からは『繊細な心』をやる……」(一馬)
「ちぇっ。お前らには『へタレ』って言ってほしかったぜ……って、冗談冗談。そう睨むなって。、ハッピーバースデーv 結人だよーん。俺からは『笑いのセンス』をプレゼントだ!」(結人)
「笑いのセンスってお前、お笑い芸人じゃないんだから……。よお、。誕生日、おめでとさん。俺からは『場の空気を読む力』をやるよ。ま、お前に限って空気読めない失敗はしないと思うけど、一応な」(柾輝)

 
君たちだって、無駄話多いやん。しかも、何やけったいな力ばっか授けとんね。これ、ちゃん嬉しくないんとちゃう? ま、僕が貰うわけやないからええけど。

(ちょっと光徳、何よそれー!! 他人事だと思って!)


 
アハハ、ちゃんが怒っとるわー。ほな、次いこか。次も一緒に出てきてくれへん? 予定の時刻、大幅に過ぎとるんやわ。監督にしばかれてまう。

「分かってるよ。ちゃん、お誕生日おめでとう。僕からは『開眼』をあげるよ。人間、表と裏を使い分けないとね。フフフ……」(杉原)

 
タッキー……君、今目がマジやったけど、大丈夫か……? ていうかそんな恐ろしい力、ちゃんに授けないでやってや。

「よお、。ハッピーバースデー。三上亮様からは『ハッキングの手引き――著:三上様』と『司令塔』をくれてやるぜ。これさえマスターすれば、世界征服も夢じゃないってな」
「三上先輩!? そんな危ないもん、ちゃんにあげないでくださいよ〜!! ていうか、普通の人間はそんなのプレゼントしないっすよー! センパイ趣味悪っ!!」
「んだとバカ代! テメェの小さい脳みそじゃあ、俺様のこの崇高な書の意味を理解することは出来ねえんだよ!!」
「べーっ! 三上先輩のプレゼントなんて、沢山のプレゼントに埋もれてどっかいっちゃうのが落ちですよ!! 『司令塔』なんて、もはやちゃんはお姫様なんだから、もう司令塔みたいなもんじゃないっすか! 先輩、あったま悪いっすねー!!」
「がーっ!! バカ代のくせに、生意気なこと抜かしてんじゃねー!!」
ちゃーん、お誕生日おめでとーーーvvv 俺からは『ムードメーカーの素質』をプレゼントしちゃうよーんv」

 
ホンマ君ら、賑やかやねー。よし、これで12人全員終わったかな。12人の妖精たちが魔法を掛け終わった時でした。

――バリバリバリーン バリバリ バリバリ

 
めっちゃスゴイ効果音やね! ……って笠井クン、煎餅食って音出すのはやめてや……。
 突然、窓ガラスが割れ、雷が鳴り響きました。窓際に立つ、黒いシルエット。


「……俺を呼ばないなんて、一体どういうつもり?」

 
そこには、漆黒の髪と瞳を持った、全身黒ずくめの妖精っぽいのが立っていました。むしろ魔王に見えんのは、僕だけ? 

「お、お前は誰や?!」
「フン、俺を知らないなんて、それでもこの国の王? 俺は13人目の妖精、郭英士。よくも除け者にしてくれたね」
「何やて!? そんなはずは……。妖精には全員、招待状を送ったはずや!」
「す、すまない! これは何かの手違いだったんだ! 決してわざとではないんだ!!」

 
必死に謝る王様と王妃様。しかし、妖精の怒りは収まりません。これは一嵐来そうやね……何や不穏な空気が蠢いとるわ。

「この屈辱、絶対に許さないよ。姫……に、呪いをかけてやる」

 
13人目の妖精は、暗黒の魔法を唱えました。

「バ一馬バ一馬 へタレサル 超可愛い yes!!!」


((((どんな呪文だよ!?))))


「ていうか俺かよ!?」(一馬)
「サルって俺か!?」(直樹)

 
な、なんちゅー魔法やねん! ありえんわ……。めっちゃ呪われそうやないの。

「ど、どんな呪いをかけたんだ!?」
は、15歳の誕生日に、糸車の針に指を刺し死ぬって魔法。ま、は可愛いから、死んでも俺が連れ去って、生き返らせて俺のものにするけど」
「何てことを……!!」
「せいぜい残りの時を楽しむんだね」

 
そう言い残し、黒い妖精は姿を消しました。残された王様と王妃様は泣くばかり。妖精たちも、どうしていいか分からない様子。

「うっ、うぅっ……、堪忍や、堪忍や。俺がきちんと確認せえへんかったばっかりに、お前にこんな辛い思いを……!!」
「井上っ、お前だけのせいじゃない……俺が……俺たちがもっとしっかりしていれば、こんなことにはならなかったんだ!! くそっ……」

 
すると、4人目の妖精がすっと立ち上がりました。椎名クン、何か考えついたんか?

「王様、王妃様。奴のかけた呪いは強大かつとても邪悪で、呪いを解くことは残念ながらできません。しかし、呪いを軽くすることは出来るでしょう」
「ほ、ホンマに!? は死なずに済むんか!?」
「ええ。しかし、これには僕たち全員にリスクが伴います。いや……国全体の問題に関わります」
「どんな魔法なんだ……?」

 
妖精の話をまとめると、姫は15歳の誕生日に、糸車の針を指に刺し死ぬのではなく、眠りにつくというものでした。そして、姫だけではなく、この国全員が眠りにつくことになるのだそうで。うーん、眠りの国の誕生やね。

「姫を助けるためなら仕方ない! 呪いを軽くしたってや!!」
「分かりました。ちなみに、この魔法は、力のある者が解かない限り、永遠に解けない禁断の魔法です。それはご了承いただきたい」
「分かってる。皆の者、迷惑をかけてすまないが……それでいいだろうか?」

 
王様と王妃様に、家来たち、そして全国民は同意しました。そして、妖精たちは力を合わせて、世紀の大魔術を使ったのです。うーん、何や結構感動的やね。まだ序盤やけど。それと併せて、王様と王妃様は、国中の糸車を全て回収し、処分しました。少しでもリスクを回避したいとの願いからです。
 そんなことは露知らず、姫はすくすくと成長していきました。妖精たちの魔法のおかげか、彼女はとても美しく、そして心の綺麗な姫に育ちました。何故か趣味は、お笑い芸人と話すことであったり、ハッキングという不思議な特技も持っていたりしましたが。すんごい姫さんやねー、ホンマ。


「自分で言うのもなんだけど、こんな姫、なんか嫌なんですけど……」
「ミステリアスなところがいいじゃねーか。好きだぜ、
「お前、何真っ昼間から口説いてるわけ? 俺のに気安く話しかけないでくれない?」
「いつ、は椎名のものになったのだ? そもそもは人間であって物ではない。ゆえに、誰かの所有物になることは無いはずだ。なのに何故――」
「……お前が入ると、調子が崩れる」
「不破……天然なのか、お前?」
 
 
クレバー代表の三人組の会話から逃げるようにして立ち去ったは、城の隅に聳え立つ塔に向かいました。一度も訪れたことのないその塔に、どうしてだか無償に行きたくなったのです。あーちゃん、これって危険なんとちゃう? 魔女の陰謀やでーー。いや、郭英士の陰謀やっけ? どっちでもええねん。逃げてな、ちゃん。

「こんにちはー?」

 
塔の最上階まで着くと、扉があり、中に誰かいるようでした。はノックし、中に入りました。すると、中には真っ黒なフードを被った老婆がいました。

「おや、お客さんかい?」
「私は。おばあさんは、ここで何をしているの?」
「私はここで、糸を紡いでいるんだよ」
「へぇ……」

 
しばらく眺めていると、老婆は姫に言いました。

「お嬢さん、良ければ針に糸を通すのを手伝ってくれないかい? 目が悪くなってしまってね……よく見えないんだよ」
「ええ、いいですよ」

 
快く承諾した姫は、おばあさんの隣に座り、針に糸をかけました。その瞬間――

――ぶすっ!!

「痛っ!」
(痛ぇっ!! ぎゃーーっ!! 何か頭に刺さってる!!)
(あ、すいません三上先輩。つい、効果音に
リアリティを追求したくなったもんで)
(人の頭で試すなーーーーっ!!!)

「フフフ……かかったね、
「貴方は……」

 
振り返ると、老婆ではなく、黒尽くめの妖精が微笑んでいます。姫は、必死に言葉を紡ぎますが、抗いがたい眠気に襲われ、上手く口が回りません。

「な…んで……っ……」
……これでお前は、永遠に俺のモノ……」
「え……いし……っ……」

 
ちゃーん……英士って言っちゃ駄目やん。ソイツは真っ黒な妖精やで。ま、ええけど。そして姫はそのまま永遠の眠りについてしまいました。

「ヤバ……ついに魔法が発動したみたいだね……」
「翼、この魔法解けるやつ……いんの…か……?」
「さあ…ね………」

――ばたっ

「ついに……魔法が発動しちゃったみたいね……、大丈夫……かし……ら……」
「有紀先輩……私、もう、駄目みたい……です…………すーすーすー」

――ころり

「英士の奴…呪いなんてかけやがって……くそっ……ねみぃ……」
「結人……っ……くそっ……体が動かねえ……」

――べちゃっ

 
ちゃんに続き、国の人間も次々と眠っていってしまいました。ていうか笠井クン? 何やの、その『べチャッ』っていう効果音。何や潰れてんけど……(汗)
 
いや、なんとなくです。
 
そ、そう……。と、とにかくや。この国は、100年の眠りについてしまったんやけど、果たしてこの国とちゃんを救える奴はおるんやろうか。とまあ、前編はここまでや。後編も、絶対見逃したらあかんでv
 
次回もお楽しみに。
 
あ、笠井クン! 僕の台詞取ったな!?


 後編に……続く。


cast/目次/後編

何や、コレ。最低やん(あまりの最低さに関西弁)全然進んでねーーっ(泣)しかも、まだ全員出てないですしね……ハハ(笑ってごまかすな)
何気翼姫に美味しい役をやらせてます。あと、ノリックが好きなので、台詞が超多かったり。エセ関西弁は難しいわぁ。
今回は一体誰ドリにしようか、今悶々と悩み中。。。とりあえず、渋沢には踊ってもらう予定(酷い)