――舞台裏にて


「玲ちゃん、今回はこのキャストで行くの?」
「そうよ。はお姫様役ねv 楽しくなりそうだわ」
「あはは……ラッキーなのか、アンラッキーなのか分かんないけど……。あ、今回のキャストは、意外なメンツが意外な役なんだよね」
「くそっ! あのくじ、ぜってぇ仕組まれてたぜ!!」
「くっ……! お前がピンチの時には、必ず駆けつけるからな!」
「うふふ。二人とも、次は頑張ってね」
「亮と克朗は、くじで外れちゃったんだよね。でも、音響と照明も立派なお仕事だもん。私、一生懸命演技するから、二人も裏方だからって、手を抜いちゃダメだよ?」
「ああ、分かってるよ。こうなったら、お前を全力でサポートしてやるからな」
「裏方の方が、をずっと見守れるしな。任せろ! ハハハ」
「……う、ん?」








 
『白雪姫』――前編







 むかーしむかし、あるところに、世にも美しいお姫様がいました。肌は雪のように白く、唇は薔薇のように赤いその姫は、白雪姫と呼ばれておりました。
 隣の国には、これまた美しいお妃がおりました。彼女は外見こそ美しいものの、心はとても醜悪です。そんな彼女は、魔法の鏡を持っていました。この鏡は、何でも質問に答えてくれる優れものです。お妃は鏡にうっとりとしながら、尋ねました。


(ぶっ……! 見ろよ一馬! 英士の女装!! ぎゃははははっ!!!)
(ぷっ……ゆ、結人、笑うなよ! 英士に怒られるぞ……っ……うくくくくっ)
(あ、あの郭がお妃かよ! アッハッハッ!!)
(郭、中々似合ってるじゃないか。には劣るがな!)
(英士……すごい綺麗なんだけど!! 負けた……涙)


「(お前ら……)……水野よ、水野、世界で一番美しいのは誰なわけ?」
(英士……水野よ、水野って(汗))→

お妃の問いに、鏡は答えました。

「それは隣の国の、白雪姫です」
「聞くまでもなかったね。そうに決まってるでしょ」

((((それじゃあ話が続かないだろーが!!))))→一同、突っ込み

「でもまあ、今のところはとりあえず、セオリー通り進めておくよ。おい天城、を拉致してきて」
「……分かった」

((((ていうか””じゃなくて、”白雪姫”だろーが!!)))→続・一同突っ込み

 お妃は家来に白雪姫を捕まえてくるように命じました。家来は白雪姫の元へと出かけていきました。


(……なんかこれ、元の話と大きく変わってきてない?)→
(ああ……拉致るとか無かったよな。白雪姫は殺されそうになるんじゃなかったっけか?)→一馬
(二人とも、何も言うな。相手はあの英士なんだからさ……)→結人
((……納得))→・一馬
(ほら、。そろそろ出番よ♪)
(玲ちゃん……楽しそう)



 その頃白雪姫は、庭で散歩をしていました。


(渋沢、音出せ!!)
(分かってるさ。――ミュージックスタート!)



――じゃじゃじゃじゃーーーーーーん!! じゃじゃじゃじゃーーーーーーん!!!(ベートーベンの『運命』)


(バ、バカかお前は!? 何でこの場面でそれが流れるんだよ!!)
(押し間違えてしまった!! すまない!! くっ、今度こそ――)



――『、好きだ。大好きだ。死ぬ程愛してる。世界で一番、宇宙で一番愛してる……っ!!(繰り返し)』



(何流しとんじゃーー!!!)
(おや、これは俺の愛のポエムじゃないか。何故ここに?)
(んなもん知るかボケーーーっ!!!)→渋沢に飛び蹴りを喰らわす三上亮。
(ぐはぁっ!!)
(あー……また始まった……)→胃を押さえる水野
(……同情するぜ、マジで…)
(一馬もナイーブだもんな。お前らって似た者同士??)
((お前らが楽天的すぎるんだよ!!))



「(何、今の……)きょ、今日も良いお天気ねぇ……」

 すると、茂みの中から一人の旅人が現れました。

「あら、旅のお方?」
「あ、ああ……」
「どうなさったの? 道に迷われたとか?」
「あ、いや、まあ……」


(天城のやつ、演技下手なんだな……)
(緊張しまくりw)
(英士の家来役は、ちょっと荷が重かったんじゃ…)



 旅人……もとい、お妃の家来は、咄嗟に嘘をつきました。

「そうなんだ。道に迷ってしまって……良ければ、森の出口まで案内してもらえないだろうか?」
「ええ、構わないわ。こっちよ」

 人を疑うことを知らない白雪姫は、二つ返事でOKしました。そして二人は、森の中へと入っていったのです。






「もうすぐ森の出口よ……って、どうかしたの?」
「え、いや……」

 お妃の命令通り、白雪姫を拉致する予定だった家来は、どうにもそのタイミングを外してしまってばかりいました。

「体調でもお悪いの?」
「いや……」
「ちょっとごめんなさい」
「っ……///」

 白雪姫は、家来の額と自分の額をくっつけました。家来は真っ赤になって、滝のような汗を流していますが、白雪姫は気づきません。


(天城……俺のに触れるとは、いい度胸してんじゃねーか)三上
(ずりー! 俺もとおでこごっつん☆してーよ!!)結人
と、おでここっつん……)←想像して、真っ赤になる一馬。
―っ!! おでここっつん☆なら、俺がいくらでも相手してやるぞ!!)キャプ
(お前ら……おでこごっつんって……)水野
(天城……俺の家来のくせに、随分生意気だね。これは後で
天誅を下す必要があるね)
((((天誅!?))))


「うーん……ちょっと、熱があるみたいね」
「いや、平気だから、その……」
「でも、すごい汗よ?」
「本当に大丈夫だから……///」
「そう? ならいいんだけれど」

 やっと家来から離れた白雪姫。家来は、心臓が今にも飛び出そうでした。そして、自分にはこの白雪姫を拉致することなど出来ない、と判断したのです。

「……姫、ここでお別れです」
「え? でもまだ出口は先よ?」
「実は私は……旅人ではないのです」

 家来は、自分の正体、お妃が白雪姫を狙っていることなどを全て打ち明けました。白雪姫は大きい目を、さらに丸くして聞き入りました。

「そんな……」
「姫、今ならまだ間に合います。早くここからお逃げなさい」
「……分かりました。家来さんも、お気を付けて……」

 白雪姫は、そのまま駆け出しました。家来は、お妃から受ける仕打ちを思い、身体を震わせました。しかし、あんな素敵な姫を、お妃に渡すわけにはいかないと思ったのです。






――お妃の城


「お帰り。で、は?」
「それが……拉致に失敗した」
「……そんな答えが、許されると思ってるの?」
「……」
「死んだ祖母のところへでも
逝きなよ
「うわっ!?」

――がぱっ

「あの世で後悔するんだね」
「かっ、かずえ――――――っ!!!!!!」

 家来は、地下世界に落とされてしまいました。生死は不明です……。


(英士って地下世界好きだなー)結人
(ていうか天城、生きてる……よな?)一馬
((合掌))三上・水野



「さて、を迎えにいくかな」

 お妃は一人妖しく微笑みました。






 一方白雪姫は、森の中で小人たちと出会っていました。

「こんにちは、小人さん。私は白雪姫。でいいよ」

 小人たちは、それぞれ自己紹介しました。

「僕は翼。コイツらのリーダーだよ。、お前を歓迎するよ」
「俺は竹巳です。先輩、よろしくお願いします」
「俺は誠二! よろしくね、ちゃーんv」
「僕は将です。翼さん、お客さんなんて久しぶりですね」
「あら、そうなの?」
「ああ、まあね。ま、僕たちは皆、を待ってたんだよ」
「そっか。あれ、そう言えば、貴方たちは全部で7人いなかった? 残りのメンバーは?」
「多分もうすぐ帰ってきますよ。あの
ズッコケ三人組は」
「ズッコケ……?」
「アイツらのあだ名だよ。いっつも三人でつるんでるんだw」
「ふーん……」

 すると、タイミングを見計らったかのように、家のドアが開きました。


――ジャジャジャジャン! ジャージャーン!(火曜サスペンス劇場のテーマ)


(ぬわぁぁぁっ! だから何でお門違いな曲ばっか流すんだよお前は!)
(いいじゃないか、緊迫した場面なんだ。これくらいは許されるだろう?)
(どこが緊迫してんだよ!!)



「何やこのテーマ……って、しもうた!! お、遅れて飛び出てジャジャジャジャーン!!」
「我ら関西の三等星!!」
「難波の暴れん坊将軍‘sとは俺たちのことや!」

「うわ、出たよ……」

 翼が嫌そうに吐き捨てるのも気にせず、三人組は続けました。

「シゲ!」
「ノリック!」
「直樹や!!」

 ポーズを決める三人組に、他のメンバーは大きくため息をつきました。

「相変わらずウザイくらい暑苦しいですね」
「笠井に激しく同感だね。お前ら、ホント見苦しいよ」
「うわっ、タクも椎名もきつっ」
「あはは……シゲさんたち、お帰りなさい」
「ただいまポチ〜……って、が来とったん?! ほんなら早よう言ってくれへんと!!」
ちゃん、お久しぶりやね」
「シゲ、光徳……一応私たち、初対面っていう設定なんだけどなぁ」
 
 の言葉は無視され、シゲはそのままに飛びつきました。

っ、会いたかったでーvvv」
「ぎゃっ、ちょっとシゲ!?」
「なっ、シゲ!! お前、何抜け駆けしとんのや!! から離れろっちゅーねん!」
「サルは黙っとき! ん〜、の感触はたまらんわぁvvv」
「きゃー!! セクハラーーー反対っ!!」

 バタバタと暴れ回る。しかし、次の瞬間シゲの動きがぴたっと止まりました。

「……姫さん、にゃんこ……何やちょっとした冗談やないの……そんな物騒なもん、下ろしとき。な?」
「お前の冗談は性質が悪いからね」
「にゃんこって俺のことですか? 失礼極まりない人ですね」

 シゲの両隣には、翼と竹巳が
を構えていたのです。その先端は、今にもシゲに振り下ろされそう、または突き刺さる寸前といったところでした。将と誠二は、おろおろと部屋を駆け回っています。ノリックは、知らぬ存ぜず。直樹は「いい気味や」とほくそえんでいます。

 やっとのことで解放された白雪姫は、ことのいきさつを話しました。

「……というわけなの。もしご迷惑でなければ、ここに置いてもらえませんか?」
「もちろんやで。お妃が来ても、このシゲちゃんがやっつけたるしv」
ちゃん、僕たち難波の三等星に任しとき」
「そうやそうや。は何にも心配することないでー!」
「サルは心配やけどな」
「何やと!?」
「うるさいよ、お前ら。……、ズッコケ三人組のことは別にしても、俺たちがお前を守ってやるから安心しなよ」
「何なら俺が、
暗殺してきましょうか? そのお妃を」
「タク、さり気に怖いこと言うなよ……(汗)」
さん、僕たちと一緒に暮らしましょう」
「……皆、ありがとう」


 こうして白雪姫と七人の小人たちは仲良く暮らし始めました。その様子を鏡で見ていたお妃は、面白くありません。


「風祭と藤代は論外。強いて言えば、椎名と笠井は手こずりそうだね……ズッコケ三人組は、ある意味未知数。でも、これも全て計算通りかな。は渡さないよ」
「ていうか郭……俺が鏡だからって、俺を見ながら笑うのやめてくれ……」


(ここまで来ると、アイツはお妃よりも魔王だな……)
(英士……お前にメルヘン世界は合わねーよ)
(配役ミスってか? あ、ほら一馬。もうすぐ王子の出番だぜ)
(お、おう)
(はーあ、ずりーよな。英士も一馬も。俺なんて今回何にも役ないしさー。ただの観客じゃん)
(天城よりは、はるかにマシだと思うけどな……)
(……確かに)



 はてさて、白雪姫たちの運命やいかに――?




 cast/目次/後編


 童話シリーズ、第一弾は『白雪姫』でお送りしますv
 ちょっと劇風なところがミソ(笑)分かりにくい文章構成ですいませんm(。_。)m ペコッ