さてさて、お話もいよいよクライマックス。
シンデレラの運命は……?




『シンデレラ』〜後編〜






「シゲ! 靴! 靴落とさなきゃ!!」
「ん? あ、そうやったな」


 シンデレラは、ガラスの靴を片方落としてしまいました。しかし、構っている暇はありません。そのまま逃げ続けました。


「シゲ!! そこから動くな!!!」
「なんやタツぼん、もう来たんかい」
「シゲ、もう下ろしてよ〜っ」
「お、すまんすまん」
「…………あ!! 私、王子様に何も言わずに出てきちゃった!! どうしよ――」
「――姫!!」
「王子様!」


 追いかけてきた王子に、シンデレラは振り向きました。二人は見つめ合います。そして…………翼、、しっかりね!!


「……姫、何故逃げるのですか?」
「つば――じゃなくて、王子様……私は、どうしても24時の鐘がなるまでに、ここから出なくてはならないのです」
「何故?」
「それは………………言えません。……さよならっ」(ダッシュで立ち去る
「っ…………っ!!」
「……え!? 翼、そこは『姫』じゃ――」
「行かせない。……行くなよ、
「つ、翼……」


 ……翼ったら、役どころ関係なしね。……可哀相だけど、ここは強引に進めさせてもらうわよ!
 王子は姫に手を伸ばしました……が、そこで無常にも夢の終わりを告げる鐘が鳴り響きました! 


――「ごーん」(声:結人)

「あっ! 鐘が鳴っちゃった〜!!」
っ、はよ逃げんとやばいで!!」
「うん!! 馬車! 竹巳! 急ぐわよ!!」
ちゃん! 何で俺だけ馬車呼びなの〜っ!?(泣)」
「はい、急ぎましょう」
「王子様…………ごめんなさい……!!」


「……俺はお前を絶対探し出してみせる」


 シンデレラは、後ろ髪を引かれる思いで、その場を走り去りました。その後姿を、王子はずっと見つめていました。
 翼、ごめんね? でもまだお話は終わってないのよーv



「……」
「おい、翼。あそこに投げてあんの、の靴じゃねえの?」


 王子はガラスの靴を手に取ると、従者に言いました。


「柾輝、この靴を履ける女を探し出して。そいつを俺の妻として迎えるから」
「らじゃ」
「……。逃がさないから」


 翼、独り言が出ちゃってるわよ? さあ、このままフィナーレ突入ね! 、もうちょっと頑張ってねv


(郭君、お帰りなさい。照明お願いできるかしら?)
(分かりました。一馬、起きて)
(うぅー……フォークが、フォークがぁぁ……ぇっ……)
(あらあら、真田君大丈夫かしら……)
(痛い!! タクっ、もっと優しくしてくれよ〜〜〜っ)
(誠二、動くなって言ったよね? じっとしてて)
(笠井……てめえ、よくも俺様を足蹴にしてくれたな……! お前のせいで、椎名にやられちまったじゃねぇか! どうしてくれんだよ!?)
(手段を選ばなかっただけですよ、三上先輩。先輩が弱いのを、俺のせいにしないでください)
(てめえ……)
(三上、お前より渋沢の方が重態だ! 笠井、すぐに手当てしてやってくれ!!)
(ぬおっ、渋沢! お前、大丈夫かよ!?)
(ん? 何がだ?(どくどくどく))←血が吹き出している
(笑ってる場合か!?)
(あ、かじゅまが起きた)
(ん……俺……)
(一馬、駄目だ! 渋沢を見るな!)
(渋沢……?…………――ひぃっ!!??)
――ばたり
(……だから見るなって言ったのに)
(一馬……お前って、ほんっとうにナイーブなのな)
(真田……涙)→水野
(渋沢キャプテンの血、止まらないんですけど)
(キャプテーン!! 死なないでくださいよぉ〜!!(涙))
(お前たち、さっきから何を言ってるんだ?)
((お前(てめえ)の命の心配してんだよ……))

(ほら、家族組、スタンバってちょうだい。、準備は出来てる?)
(オッケーだよ玲ちゃん!)
(じゃあ、始めるわよ)



――舞踏会から、数日後……



「お兄様たち……その怪我どうなさったの?」
、これは男の勲章なんだ。ハハハ」
「……お父様は、頭だけミイラみたいですよ……」


――「コンコン」

「あら、誰かいらしたみたいですね」
「誰だ? 俺が見てこよう」


 父が扉を開けると、そこには王子と従者がいました。手にはガラスの靴を持っています。


「突然悪いな。王子がこの靴履ける奴探してんだ。この靴履けた奴を、妻として迎えるらしい。とりあえず、一人ずつ履いてみろよ」
「柾輝、こいつが履けるわけないだろ? 、いるんでしょ? 早く出てきなよ」
「翼……じゃなかった、王子様!」


 出ていこうとするを止めるべく、継父と兄たちが立ち塞がりました。


「おーっと、奇遇だな。実はその靴、俺がこの前置いてきちまったんだよ。よってこれは俺のもの。は連れて行かせねえぜ?」
「お前にこんな小さな靴、履けるわけないだろ? 見え透いた嘘付くの、みっともないから止めたら? ていうか、見苦しいね。醜い」
「っ……うっせえよ! これは俺のなんだってたら俺のなんだよ! 何なら今すぐ履いてやらぁ!」

――みしっ

「くっ……このっ、このっ」
「亮っ、無理矢理履くと、足に悪いよ! しかも、割れたら大変だよ!?」
「うっせえ。お前を椎名のとこに行かせるよか、遥かにマシだっつーの!」
「亮……」


(……監督。やっぱり俺に代わってください)
(郭君? うふ……ちゃんとやってくれるならいいわよ?)
(大丈夫です。セオリー通りに進めますよ。ただ、こんな茶番はとっとと終わらせますけどね)
(あらまあ……)
(結人、スタンバイ)
(あいよー)



 そして、兄1が思いっきり足を踏み入れた瞬間(スイッチ、オン)


――ぱかっ(結人)

「うわぁぁぁぁぁlっ!?」
「亮−っ!?」


 何故か靴が勝手に動いてしまい、そのまま地面を思いっきり踏みつけてしまいました。すると、地面が割れて、兄1は叫び声を上げながら、地底へ落ちていきましたとさ。はい、一人完了ね。


(((((ジェノサイド(大量虐殺)の始まりかーーーーーーーーーッ!!!????))))))



「……怖えな」
「……俺よりも遥かにタチ悪いんじゃない? 郭って」


 ほら、次。次は兄2でしょ。早く靴履きなよ。(もはや命令)


「あ、ああ……(もう逃げたい……!)」
「竜也……無理しないで?」
……大丈夫。死ぬわけじゃないさ……(多分)」


 遅いよ水野。時間切れ。もう退場ね。

――ぱかっ

「うわっ! あ、――――――――――-っ!!!」
「たっちゃーーーーーーーーーーーーん!!!!(タッチ風に)」


 はい、二人目終了。ほら、最後。頭だけミイラの人、早くして。


、お前は俺が必ず助けてやるからな!」
「克郎……」
「なあに、これくらい。への愛に比べたら、どうってことない試練さ。ハハハハ――ふんっ!!」

――ぐしゃっ

「か、克郎! 靴、靴が……!!」
、履けたぞ! への愛が、俺の足を小さくしたんだな! ハハハハ」
「ちがっ、よく見て克郎! 足、足!」
「ん?…………なっ、何てことだ!? 靴が割れているじゃないか! 誰がこんな酷いことを!!!」
「「お前だよ」」(翼・柾輝)
「あ、玲ちゃ〜ん、どうしよ……」


――「監督、靴が渋沢に踏み割られたみたいです」
「もう片方の靴でやるしかないわね」
、もう片方の靴があるでしょ? それで続けて」



「わ、分かった。翼、こっちで仕切り直しみたい」
「ったく、これだから無駄に図体のデカイ奴は……柾輝、こいつも地底世界へ送ってやって」
「翼っ?」
「……悪いっすね。個人的な恨みはないけど、翼の奴キレると怖いんで」

――どかっ

―――――――――――――――――っ!!!! 愛してるぞーーーーーーーーーー!!!!!」
「克郎…………何で最後まで笑顔……(汗)」


(キャプテーーーーーーーーーーーーーン!! 三上せんぱーーーーーーーーーーーーーーい!!!!)
(ああ、落ちていったね。どこまで行ったんだろう)
(タク、助けに行こうぜ!)
(嫌だよ。先輩の演技、最後まで見たいし。誠二一人でどうぞ)
(え!? そんな〜〜〜っ)


 ふぅ……やっと三下が片付いたね。椎名、今回だけは特別に譲ってやるから、早く終わらせてくれる? 見てると苛々してくる。
(そうだぜ椎名! ムカツクから早く終わらせろってんだー!)
(ふふ、翼。最後、期待してるわよ)



「ま、運の強さも実力のうちってね。――、ラスト決めるよ?」
「う、うん」


 結局、兄と父は履くことの出来なかったガラスの靴。シンデレラが恐る恐る足を入れると、ぴったりと収まりました。


「やったな翼。こいつがシンデレラだ」
、お前があの晩の姫君だったわけだ」
「は、はい……」


 王子は、シンデレラに近付きました。いつの間にかお付の従者はいなくなっています。


(野暮は嫌いなんでね……俺はもう抜けさせてもらうぜ)
(黒川君、いいの?)
(ま、今回は翼に譲ってやるよ)
(そう? うふふ、次は頑張ってね)



「あ、あの……王子様……」

〜! 椎名〜!! うおおおおお!!!!』
『ここから出してくれ……』
『体中怪我だらけだ! くそ笠井、郭!! てめえら絶対ぶっ殺してやるからな!!!!』

 戸惑うシンデレラに、椎名……王子は、微笑みました。地下から煩わしい声が聞こえていますが、二人には全く聞こえていないようです。



「姫……私と結婚してくださいますか?」
「えっ! あ……わ、私で良ければ……」
「姫……」
「王子……」


 王子はシンデレラの顎を持ち上げると、そのまま――……って椎名、それ以上近付くと、怪我じゃすまさないよ?


「フン、やりたきゃやれば? 僕は続けるから」
「翼!?」


 ちょっとごめんなさい郭君!(どーんっ)
 翼、ちゃん、ここが舞台だってこと、忘れちゃ駄目よ? でも、楽しいからラブシーンは許可するわvvv 思いっきりラブラブしていいわよ!



「言われなくても、ね。………、目瞑って」
「つ、翼……ちょっと待っ! わわわわっ!?」


((((の唇が奪われるーーーーーーーーーーー!!!!!!)))))))


「姫さん! は渡さへんで〜!! ――たこ焼きボンバー!!!!」


 何と! 魔法使いが乱入してきたわね。王子はどう対処するのかしら?
(侮れないね、あいつも)
(だから英士、ナイフ下ろせって……)



「ちょっと! たこ焼き投げてこないでよシゲ!!」
、姫さんなんかやめて、俺にしとき。そしたら毎日たこ焼き食わしたるでv」
「いらないわよー!!」
「っ……お前が食ってろよ! このたこ焼き関西人!!」
「むがっ!!」(翼に無理矢理たこ焼きを口に押し込まれるシゲ)
「早く消えてよね、たこ焼き野郎」
「……ほんはらひぃはんもふいなはれ!!(そんなら姫さんも食いなはれ)」
「んぐっ!?」(今度はシゲに無理やりたこ焼きを押し込まれる翼)


 あらあら、何だかたこ焼き合戦になっちゃったわね。


「ぺっ! ……っ、お前、何するんだよ! 非常識にも程があるんじゃないの?!」
「姫さんが先にやったんやで? 非常識なのはお互い様や」
「フン、お前とはここでケリを付けといたほうが良さそうだね」
「流石姫さん、話が分かるわ〜。ほな、早速勝負といきまひょか?」
「……望むところだよ」


 あらあら……


「っ……英士―! もう何でもいいから早くお話締めてっ!!! 私もう嫌〜〜〜っ!!!!」


「郭君、からご指名よ♪」
「……、ちょっと待ってて。今すぐ、終わらせてあげるから。結人、ラストの準備して」
「ラストだな! おっけーw」



 謎のたこ焼き野郎の出現により、シンデレラは一人取り残されてしまいました。シンデレラは、ぽつりとつぶやきました。
 、何でもいいから一言言って?



「えっ? ええっと……じゃあ……『はぁ、疲れた……』」


 『はあ、疲れた……』と呟いたシンデレラ。
 ……しかし、シンデレラは思いました。「王子様と結婚しなくても、今の生活を送り続けられるのが、一番幸せなんじゃないか」と。



「英士…………。うん……そうだよね。やっぱり、夢は夢だからいいんだよね! そう思ったら、何だかすごいすっきりしちゃった」


 フッ……どうやらシンデレラは、心の蟠り(わだかまり)が取れたようです。


「おーい! 克郎! 亮っ! 竜也―! 皆生きてるーー??」
……? ! 無事なのか!?」
「えへへ、この通り、ぴんぴんしてるわよ♪ 今助けてあげるから、ちょっと待っててね」


 シンデレラは、王子とたこ焼き野郎が争っているうちに、地下世界に落とされた兄たちを助けました。


「よいしょっと……はあ、皆大丈夫?」
……ありがとう。でも、お前は……」
「痛ててっ……ていうか!? お前椎名のとこに連れてかれたんじゃ……」


 驚く兄たちに、は苦笑しながら言いました。……、後はらしく、好きに演じなよ。


「(英士……ありがとう)
 ……やっぱり私には、お姫様なんて似合わなかったんだよ。それに……お父様とお兄様たちと一緒に暮らす方が、お城に行くよりも、全然幸せなんだって分かったの。だからいいんだよ、これで」
「っ……っ!! 何て、何て可愛い奴なんだ!!! もう一生どこにも嫁になんて出さないぞ!!」(例の如く、に抱きつく)
「渋沢っ、から離れろって言ってんだろーが! ……でも、やっぱお前最高だぜ」
……俺たちが、ちゃんと幸せにしてやるからな」
「皆…………うん! これからもよろしくね」
「「「もちろん!」」」


 こうしてシンデレラ一家は、家族四人で末永く幸せに暮らしたそうです。……はあ、終了。
 
――「めでたしめでたし!!」(声:結人)

『うふふ……お疲れ様。今回は、郭君のセンスが発揮されたわね。個人的にはちょっと物足りなかったけど、爽やかな仕上がりだったわよv』
「次は玲ちゃんが主役やってよ……」
「「「次が無いことを、切に祈る……!!!」」」(三上・水野・一馬)






*おまけ*

「何や、周りが異様に静かやな……」
「……確かに」
「おーい翼! 関西人」
「何や?」
「柾輝?」
「あんたらが争ってるうちに、もう話終わっちまったぜ? 監督が、次回作の打ち合わせするから呼んでこいって」
「げ……」
「マジかよ……」
「嘘言ったってしょうがねえだろ。っつーわけだ。俺は確かに伝えたぜ? じゃあな」

「……なあ姫さん。俺ら、何やえらいアホらしいの〜」
「……反論する気力もないよ……」
「戻りまっか……」
「ああ……」


 戻った二人が、にこっ酷く説教されたのは、言うまでもない。
 おしまい♪



→おまけ小話+に進む?


なんじゃこの終わり方は……!! でもまあ、このお話は自分でも結構気に入ってたり(笑)
これで長かった童話シリーズもお終いですv 小話を読めば、完璧に完結!? なので、是非ご一読あれ☆
ではでは、ここまでお付き合いいただき、どうもありがとうございました。