童話deホイッスル、フィナーレはこの話。




『シンデレラ』――前編







(ほら、一馬からでしょ。早く)
(え、お、俺っ?)
(そそ。かじゅまから〜v)
(か、かじゅまって言うな!!)
(……一馬、早くしないと進まないでしょ)
(う……じゃ、じゃあ始めるぜ……)


 むかーし、昔、あるところに、シンデレラという美しい娘がおりました。しかし、シンデレラは継父とその兄たちに、いつもいつも苛められていました。……って、父? 兄?


、お前は何て可愛いんだ! 父さんは嬉しいぞ! ハハハ!!!」(キャプスマ)
「克郎……い、いえ、お父様、それじゃあ話が続きませんよ……」
「んなこと言ったって、俺たちにお前に辛くあたるなんて、できやしねぇんだよ」
「亮……でも、これちゃんと台本通りにやらないと、監督に怒られちゃうよ?」
「悪いな、俺たちにを虐めるなんて出来ない……」
「もぉー、竜也まで……これじゃあいつまで経っても、話が進まないわよ〜!!」


(げっ、全然台本通りじゃねえじゃん! どうすんだよ、これ……)
(とりあえず、アドリブで乗り切って)
(ヘタレかじゅま君にアドリブなんて出来るんでちゅかね〜?w)
(だからかじゅまって言うな!! あーもうっ、やってやる!!)


……は、頬を膨らませていますが、それもこの三人には逆効果。むしろ、可愛さを倍増させるだけの行為に、自分たちの役どころなんて、すっかり忘れてしまっているようです。……こ、これでどうだ!

(お、中々上手いじゃんv ヘタレかじゅまw)
(結人、あんまり一馬をいじらないで。しつこいよ)
(わ、悪い……)


「……っ、俺は舞踏会なんて行かんぞ! っ!! ここで一緒に踊ろうじゃないか!」
「きゃあっ! ちょ、ちょっと克郎!?」
 

 いつものキャプスマを浮かべながら、突然の腰を抱え、優雅にステップを踏み出す渋沢。は、目を回しています。っていうか渋沢、お前それは無いだろ……


「か、克郎〜っ、目が、目が回る〜!!」
!! ちっ、ざけんな渋沢!」

――「どがっ!!」(声:結人)


 ……の危険を察知した三上は、咄嗟にサッカーボールを一蹴。そ、それは見事、渋沢の後頭部にクリーンヒット……!?


「うごっ!」
「か、克郎っ!?」


 笑顔のまま、前のめりになって倒れてくる渋沢に、は身動きを取ることが出来ず、目を瞑りました……って!? 
 くそっ、ナレーションなんてやってられるかよ!!

<一馬、ナレーション室から飛び出す>


「きゃ〜!! 押し潰される……!! ていうか、こんなの台本に無かったよね!?」


 バ一馬っ!!(あ) ちっ……仕方ないね、俺が替わるよ。結人、マイク貸して。
『はいよっ』
 ……しかし、いつまで経っても衝撃は来ません。が恐る恐る目を開けてみると……



「くっ……おい渋沢!! さっさと退けってんだよ!!」
「渋沢っ……どさくさに紛れて、にもたれかかるな!」
っ! 大丈夫か!?」
「……どうして一馬がここにいるの(汗)」


 ……いつの間にか、にはヘタレ兄が一人増えていたようですが、そこら辺はお約束。とにかく、兄たちが、倒れそうになる継父を支えていました。 そして、そのまま勢いで、皆舞踏会へと出かけて行ってしまいました。ほら、早くはけたはけた。


「「「「何て強引な進め方!! 恐るべし、郭英士……!!!」」」」(一同)



 うるさいよ、早く次の舞台に移ってくれない? で、一人取り残されたは、舞踏会に行きたくてたまりません。



「…………はっ! 私の台詞だっけ!? え、えっとぉ……あ、ぶ、舞踏会に行きたいなぁ〜!! あははは」


 が呟くと、突然部屋に一陣の風が吹き込んできました。

――「ひゅるりら〜!」(声:結人)

 その風と共に、の前に突然、魔法使いが現れました。


「よお! 魔法使いシゲちゃんの登場やでv」
「シゲ――じゃなかった…。えっと、魔法使いさん、何故ここに?」
「そりゃあ可愛いが、一人で寂しがってると思うてな。どうや、嬉しいやろ?」
「え……ま、まあ……」
「何や、つれないの〜。ま、可愛いのためや。シゲちゃんが特別に、を舞踏会へ連れてったるで!」
「きゃ〜っ!! シゲ、最高―っ★ありがと〜!!」
、お礼はほっぺにチューでいいでvvv」
「はぁっ!?」
がチューしてくれへんのなら、この話はナシや」
「え〜っ!?」


(なっ……! シゲ、にそれ以上近付くな!!)
(アイツ、俺のに手出したら、ただじゃおかねぇ!)
(……ん? な、何でがあんなところに!! っ! 〜っ!!)
(お、おい、英士。このままだとが……)
(大丈夫。もう手は打ってあるから――結人、効果音の準備はいい?)
(おお、ばっちりw)
(……スイッチ、オン)
(ぬおっ!?)
→突然、渋沢の座っていた椅子がロケット発射!!(ありえない)


「ほら、早くせえへんと、舞踏会に行けないで?」
「う〜っ……分かったわよ……。シゲ、目瞑って?」
「お安い御用やw」


 目を瞑った魔法使いの頬に、が唇を近付けた瞬間……


「うおおおおおお!!! 〜〜〜〜〜っ!!!!!!!」

――「ぶちゅうっ!!」(声・結人)

「むぐっ!」(渋沢)


 『yes!!(英士、ガッツポーズ)』


の唇、めっちゃ肉厚やん!! ん〜っ、たまらんわぁ!」
「…………(うわぁ)」(


((((うおぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーー!!!!(嘔吐者多数)
 俺じゃなくて本当に良かった……!!!!!(合掌)
 恐るべしっ∠AC!!!!!(恐怖のあまり変換ミス)))))



「お、俺もう駄目だ……!!!」→一馬、あまりのおぞましさにトイレへ駆け込む。
「あらまぁ。かじゅま君は、ナイーブでちゅからね〜w」
「「ナイーブとかって言う問題じゃないだろ……」」(三上・水野)


「英士、yesって……(汗)」(


 ……目を閉じて、うっとりと感想を語る魔法使いに、は引き攣った笑みを浮かべています。
 あ、渋沢、戻ってきていいよ。



「うおっ!? ま、また椅子が勝手に!!!!」→後ろ向きのまま、椅子と共に舞台裏に戻っていく渋沢。
「な、何なの一体……」
「なあなあ、もう目ぇ開けてええか?」
「え!? ……あ、も、もうちょっと待った方が、シゲのこれからのためにはいいかなっ!?」
「?」


 のキスに気を良くした魔法使いは、魔法を唱えました。


(((魔法使いよ永遠に……!!(号泣))))



「たこ焼き、もんじゃ、お好み焼き〜♪」
「それ呪文!?」


(ここで暗転。照明落として。、着替えてきて)
(はーい。急いで着替えてきます!!)

「あ、じゃあ俺も――」
「三上、渋沢と同じ末路を辿りたい?」
「……冗談だ」
「なあ水野、さっき俺は、一体舞台で何をしてきたのだろうか? 突然のことで、よく理解出来なかったのだが……」
「……さ、さあ? 俺もちょっと、あまりに突然だったから……(言えない……絶対に言えない……!!)」
「渋沢……お前はやっぱり、俺たちのキャプテンだぜ……」→そう言って、渋沢の肩に手を置く三上
「……?」

(英士―! 着替え完了v)
(分かった。じゃあ続けるよ)

 次の瞬間、は美しいドレスを身にまとっていました。髪型も、きちんとドレスアップされていて、どこからどう見ても、貴婦人に見えます。


「わぁすごーいww こんな綺麗な服着たの、私初めて!!」
〜!! 可愛いでvvv めっちゃ似合っとる」
「ありがとー、魔法使いさん」


 喜ぶに、魔法使いは馬車と従者も付けてくれると言います。
 魔法使いは、畑から頂戴したかぼちゃと、家の中に住み着いていた猫に、魔法をかけました。


――「ぼんっ」(声:結人)

「いえーい! ちゃん、俺に乗ってvv」←さり気なくいかがわしい
「せ、誠二が馬車の役だっけ? っていうか、乗れないよ!! 重いじゃん」
「いいんですよ、先輩。俺も誠二に乗ることになるし」
「竹巳が従者?」
「そうです。さ、誠二。俺と先輩を城まで運んで」
「た、タクも!? 二人は流石にきびし――」
「誠二、これ新商品のスナック菓子なんだけど」
「え! 食いたい食いたいvv」
「お城に着いたらあげるよ」
「よっしゃ! さあ二人とも、早く乗って!!」
「竹巳ってば、誠二を餌付けしてるし……誠二、アンタ、もうちょっとプライド持ちなさいよ……(涙)」


(バカ代が……! スナック菓子に釣られる奴がいるかよ! ていうか笠井、真っ黒だな……)
(ふぅ……武蔵森のエースがこんなんじゃ、先が思いやられるな)
(んだと水野! てめえより、あのバカの方が百倍マシだ!)
(どういう意味だよ三上!!)
(二人とも、喧嘩なら他所でやってくれる? ……それとも渋沢みたく、もう一度舞台で目立ってみる?)
((……すいません))→∠AC、最強説誕生。
(ほらお前たち、そろそろ出番だぞ。! 今行くからな!!)


 こうして、馬に乗ったは、従者がお菓子を釣りながら馬を操ったので、通常では考えられないほど早く城に着きました。


「じゃあ行ってくるね、二人とも」
「行ってらっしゃい。あ、でも魔法使いとの約束は守ってくださいよ?」
「大丈夫! 24時までには必ず戻るから」
ちゃん! お土産持って帰ってきてねーvv」
「はいはい。じゃあ、また後でねー」


 二人と別れたは、早速城の中に入りました。

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 こんなお馬鹿な話ですいません(汗) 今回は、フィナーレということもあって、三篇に分かれてのアップです。
  さてさて、ヒロインの運命やいかに――?