ごほん。さあ、前回に引き続き、『人魚姫』の後編を始めるぞ。、準備はいいか?……よし。じゃあ始まり始まり。
あ、このお話は、俺のマイスイートハニーであるの、美しく華麗で繊細な演技を堪能するための物語だ。感動で前が見えなくなることは必至だから、皆、ハンカチとちり紙の準備は忘れるな! あと、写真撮影はお断りだ。の美貌を写真に残すなんてことしたら、俺が許さん! 極刑を与える! いいな? ワーハハハハハハハハハハハハ☆
(盗撮常習犯のお前は、死刑だな)→三上
(俺がキャプテンの死刑を執行します)→笠井
(何だか、中世ヨーロッパの拷問風景が目に浮かぶな……)
(ご心配なく。三上先輩、想像だけじゃなんですから、実演してみせますので――三上先輩を使って)
(何でそうなるんだよ!?)
『人魚姫』――後編
(……ここは……?)
目覚めた人魚姫は、自分がどこにいるのか分かりませんでした。その時です。どこかから声がしました。
「おい、大丈夫か?!」
(お、王子様!)
人魚姫が驚いて身体を起こすと、自分の尾びれが無くなっており、代わりに美しい足が生えていることに気付きました。
「っ……」
しかし、声を出すことはできません。自分は人間になったのだと悟ると、王子を見つめました。
(王子様……)
「……お前、口が聞けないのか?」
訝しがる王子に、は頷きました。王子はしばらく思案していましたが、すぐにを城へ連れていくことにしました。は話すことが出来ないことを口惜しみながらも、王子が元気だというだけで嬉しくなりました。うぅ……なんて健気なんだ!!
城に着くと、綺麗なドレスを身に着けさせてもらい、は王子と一緒に城の中を見て回りました。
(わあ……人間の世界って、すごい)
「珍しいか? 好きなだけ見ていいぜ。これも何かの縁だしな」
(王子様……)
が目を丸くして見入っていると、王子の苦笑する声が聞こえました。
「くくっ……お前、一体何者なんだ? そんな容姿して、どっかの令嬢なんだろ? なのに、これくらいのものを珍しがってるなんてなぁ。海で溺れたのか?」
(王子様、私は貴方に会いにきたのです……)
「ま、話せないんだから仕方ないけどよ。お、命の恩人様がお目見えだ」
(? 命の恩人……?)
王子が手を振っている方向を見ると、一人の女性がこちらに駆け寄ってきました。
「あらぁ〜、亮様ぁw こんなところにいらしたのぉ?」
「ぐ……若菜、お前もうちょいその口調どうにかできないのか……?」
「いや〜ん、亮様ったらv そのお嬢さんは、どなたぁ?」
「……海で拾った」
「おほほ、貴方と一緒ですわねv お嬢さん、大丈夫?」
(この人は、確か……)
は、あの時砂浜で見かけた人影を思い出しました。この女性は、あの時の女性だと確信しました。くっ……若菜! お前は醜い!! の美しさが汚されてしまうじゃないか!! に近付くんじゃない!! こらっ!!
「あらあら、うっふんw この子、可愛い〜vvv(だきつきっ)」
(ゆ、結人!? 相手が違うでしょー!)
「だってぇ、ムサイ男に抱きついたって、キモイだけだしぃv うーん……やっぱ柔らかいなぁ……」
(結人ってば……涙)
俺のに触れるなと言ってるだろーーーっ!!!
――ジャキンッ
「ちょ、渋沢!? お前、マジになんなって……な?」
「か、克朗!! その銃器を今すぐ下ろしてよぅ(涙)」
を怖がらせてしまった……!? すまんっ、俺は最低な男だ……!! 許してくれ!!!!
――ガンッ ガンッ ガンッ!!(壁に頭を打ち付けている)
克朗は悪い子! 克朗は悪い子っ!!
((((いきなりハリポタ入っちゃった!? ていうかド●ー!?)))))
「克朗……(涙)」
よし! へのお詫びはここまでにして……と。王子はに言いました。
「コイツは、俺の命の恩人なんだ。俺が砂浜に打ち上げられているとこを助けてくれたらしくてよ」
「おほほほ、たまたま通りかかったら、この人が伸びてるんですもの。あの時は驚きましたわよ」
「マジで感謝してるって。だからこうやって、お前を后にしてやることにしたんだからな」
「あら嫌だわ。もっと情熱的に囁いてくださいましwww」
「ぐっ……てめ、若菜。いい気になりやがって……」
「おほほほほ。恩を仇で返すおつもりかしら〜?」
「……ちっ」
(この人が、助けたと思ってるんだ……本当は私が貴方を助けたのに……)
は、王子はこの女性と結婚するのだと知り、ショックを受けました。しかし、声を出すことはできません。悲しみを湛えた瞳で、王子を見つめることしか出来ませんでした。
「何だよ……泣きそうな顔して……」
(王子様……貴方を助けたのは、私なんです……)
「っ……っ……」
「おい、大丈夫か……?」
ぽろぽろと涙を零すに、王子と女性はどうしていいか分かりませんでした。は部屋で泣き続けました。うぅ……、何て不憫なんだ……! そして三上! お前という男は恥を知れ!! こんなビューティフォーなを泣かせるなんて、不届き千犯! 死んで詫びるがいい……!!
「何でそうなんだよ!! 仕方ないだろ!? そういう話なんだからよ!!」
でぇい! 問答無用!! 死ねぇっ! ――――ぐげえぇぇぇぇ。
「だぁぁぁっ!? お前、口から何か出てきてるぞ!?」
「ゲロゲロゲロゲロ…………――おえっぷ」
「に……日本刀!? てか、何て場所にしまってんだよ!! お前はアレか!? Mr.○リックの回しものか!?」
「人魚姫……………………タン萌ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!」
「意味分かんねーよっ!!!!!!!!!!!!」
「……竹巳のピアノ、すごく綺麗ね……」
「何ていうか、目の前で繰り広げられているモノを、忘れさせてくれるよな……」
「誠二、ごめんね。ちょっとナレーターの代役やってくれないかな? このままじゃお話が終わらないから……(涙)」
(オッケーvv ちゃんの頼みなら、俺頑張るからねー!)
「笠井は、に関係ないことには無関心なんだなー。三上は放置プレイって感じ」
<一心不乱にピアノを奏でる笠井>
――ええっと……次は…と。
部屋で泣き続けるちゃん。心配で海からその様子を見守っていた兄×2は、ある晩、ちゃんを呼びました。
「、」
(……一兄様。竜兄様も)
「……話は聞いた。どうして俺たちに黙って一人で行ってしまったんだ?」
「……っ……」
「そっか……は声を失ってしまったんだよな……。真田、用件だけ伝えよう」
「ああ。、このままでいいから俺たちの話を聞いてくれ」
(お兄様……)
兄たちの話はこうです。事の次第を聞いた兄たちは、魔女に何とかを助けることが出来ないか? と相談したそうです。すると魔女は、兄たちの大切なものを貰う代わりに、を助ける方法を教えてやると……。
「俺は……りんご恐怖症にされちまったんだ……!! ああ、りんごが怖い! りんごが怖いんだよ!!」
「真田……泣くなよ! 俺なんか……俺なんか…………っ……」
「そうだったな……水野は……眉毛を繋げられちまったんだよな……。太さも今の5倍にされて……くぅっ……!!」
(お兄様方……私のために、そんな酷いことに……!!!!)
「でも……いいんだ。俺たちはお前のためなら、どんなことだって耐えてみせる……!! だから、お前も戻ってこい」
「このナイフで、その王子の胸を刺して殺すんだ。そうしたらお前は、泡にならずに済む。また海の世界へ戻れるんだぜ!」
(王子様を…………殺すの……!?)
「……俺たちは、お前を待ってるからな」
「明日の晩、また迎えに来る。それまでには、決着をつけてこいよ」
(…そんな……どうすれば……)
人魚姫は、一人悩み苦しみました…………あ、キャプテンが戻ってきた!
――すまない藤代。三上のやつ、逃げ足が速くてな。、待たせたな☆お、ナイフを持ってるな。もうすぐクライマックスか!
そしてその日の晩。寝ている王子の寝室に、は忍び込みました。ナイフを構えながら……。
(王子様……私は……っ……)
「っ……」
しかし、どうしても王子の胸に、そのナイフを突き立てることが…………――うおっ!? 笠井、何するんだ!
――先輩。思いっきり突き立てるんです。さあ、思いっきり!
「え?……きゃっ、ちょ、何これ!? 腕が勝手に……!!」
「ん……、どうし――げっ!? お前、何物騒なモン人に向けてんだよ!?」
「ちがっ……手が勝手に……!!」
「ていうかそれ、本物か!?」
――ざくっ!!
「ひっ………」
「あ、亮……大丈夫!?」
(ちっ。あと数センチだったのに)
(タク!? 三上先輩が死んじゃうよ!!)
(狙いは完璧だったのにね。の理性と、三上の悪運が勝ったってことでしょ)
(郭まで!?汗)
(先輩、もう一息です。ファイト!)
(、頑張って)
「手、手が勝手に動くぅ〜!! 誰か助けてーーっ!!」
「そりゃあこっちの台詞だーーーっ!!!(涙)」
――ざくっ ざしゅっ どすっ(不協和音と共に響く、ナイフの刺し音w)
「ひっ!」
「うおぉっ!?」
「ぎゃーーっ!!」
何だかゴキブリ退治みたいで楽しそうだな、ハハハハハハハハ☆
「わ、笑ってる場合じゃねー!!――うぎゃっ!」
「亮ぁっ(涙)誰か私を止めてーーーっ」
と王子の死闘は明け方まで続きました。そして――
「……もう嫌!! 私が消えれば、それで全て解決なんでしょ!?」
(ごめんなさい、王子様……
柾輝! お願いっ、克朗とナレーター代わって!! 何とかアドリブでお話締めてほしいの!!)
(へいへい、了解ー)
「ちょっと悪いな。渋沢サン?」
「黒川?……うおっ!! これはのポラロイド……!!」
「おっと。風に乗って飛んでいっちまった」
「ぬおおおおおおおおおお!!!!!! ーーーーーーー!!!! 待ってくれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
<渋沢、舞台から逃走>
ナレーター代わるぜ。王子を殺せないと諦めた人魚姫は、そのまま海へ身投げ。その瞬間、の身体は泡になっちまった。……こんな感じか?
(ぐっジョブ柾輝!
王子様を殺すことなんて、私には出来ないもの……。これで良いの……)
すると、泡になった人魚姫を取り囲むようにして、関西トリオ……じゃなかった……天使たちが集まってきやがった。
「〜v お前はなんちゅー心の優しい奴なんや! マジ惚れ直したでーー!」
「ちゃんみたいな可愛え子には、ご褒美として1000回いいことをしたら、人間にしてあげちゃうでv」
「それまでは、俺らと一緒に、天国で仲良う暮らそうやv」
「うん……!!」
こうして人魚姫は、天国へと昇っちまったわけだ。おわり……と。
「うふふ。原作通りの展開ね。、とても上手だったわよ」
――舞台裏にて・・・
「あんな締めで良かったのか……?」
「いいんじゃない? 、ほっとしてるみたいだし、渋沢のアホは消えたし」
「まあな。そういや、が最後に叫ばないのって、初めてじゃねえか?」
「そうかもね。お、噂をすれば何とやら。!」
「翼―、柾輝ー!」
「お疲れさん、。あんなんで良かったか?」
「うん! 本当ありがとう。まあ、途中アクシデントはあったけど……原作に忠実に終れて良かった〜」
「三上の奴の生死はどうでもいいけど、お前を殺人者にはしたくないからね。の判断は賢明だったよ。お前が出来なきゃ、俺が力ずくでも止めてた」
「翼……」
「……」
「…………野暮は承知で言う。お二人さん、次の回の打ち合わせ始まってるみたいだぜ? 次はラストだし、タイトルはあの有名どころだからな。熾烈な主役争いが起きるんじゃねえの?」
「もうラストなのね……早いような、長いような……」
「ラストね……。ま、何が来ても……負けないけど」
「……?」
「くくく……違いねえ。ほら、急ごうぜ。監督が待ってる」
「ああ。ほら、置いてくよ!」
「えっ! あ、ちょっと待ってよ〜!!」
――その頃……
「〜! 待ってくれぇぇぇぇ!! 俺の手の中に……さあ!!」
〜ひらひらりーん〜
一人、写真を追いかけ続ける男がいたとかいなかったとか。
そして……
「うわぁぁぁ……このマジック、洗っても落ちない!! 椎名! アイツ、油性で書いたな!?」
「み、水野君、落ち着いて……!!」(風祭)
「り、りんごが本当に怖い……!! 何でだ……!?」
「催眠術というものかもしれないな。気にするな。人間はりんごを食べなくても死なない」(不破)
「そ、そんなこと分かってるよ!! うぅ……俺って、ホントへタレ……orz」
「真田……俺だって……俺だって……へタレだ……orz」
「あいつら……ぜってーぶっ殺す!!(怒)」
しくしくと泣くへタレコンビと、怒りで煮えくり返っているタレ目エロ目に明日はあるのか……?
おしまい(もう嫌だ)
前編/目次
もう……駄目だ。。。ネタが尽きた。もう無理。でも、童話シリーズ、後一つで完結なので、最後まで頑張ります!! とりあえず、まともなラストにはならないと断言しておきます(おい)
人魚姫は、童話シリーズ唯一の悲恋だったので、何だか本当に難しかったです。何でコレを選んじゃったのかしら……涙 少しでも楽しんでくださったら幸いです。。。。
たつぼんとかじゅまの二人は、すっごく書きやすいです。へタレコンビ。でも、何気にみかみんとたつぼんペアも好き。苦労人ペア。
さーて、次へととっとと進むことにします。ご感想など、是非お寄せくださいませー☆
2006/8/26 桃井柚