――恒例の舞台裏にて・・・

「人魚姫かぁ……悲恋やるの、初めてだよね」
「そうね。は悲恋は嫌い?」
「……そりゃあやっぱり、愛する二人には幸せになってほしいっていう願いはあるけど……でも、悲恋の方が心に残る気がするし……嫌いじゃないよ」
「うふふ……それならいいけど」
「ま、一生懸命頑張るからね、玲ちゃん!」

――舞台の影から盗み聞きする飛葉メンツ。

「……って、悲恋体験したことあるんか?」(直樹)
「……さあね。それは本人と……もしいたとすれば当事者しか分からないね」(翼)
「でも……アイツって、人魚姫の役、すごく合ってる気がするな」(柾輝)
「泡になって消える、薄幸の美女……ね。ま、俺が泡になんてさせないけど」
「クッ……相変わらずだな、翼は」
「そういう柾輝こそ、野暮は嫌いとか言いながら、随分には突っ込んでるよな?」
「へいへい……俺が悪うございました」
「お前ら、俺を置いて話を進めんなや!!」
「あ、直樹。まだいたのかよ?」
「悪りぃ、全然気づかなかった」
「お前ら……(怒)」




(お、おい……今日のナレーターって、渋沢だぜ? いいのかよ、あいつで……)→一馬
(んなこと言っても、くじで決まったんだからしょうがないだろー?)→結人
(大丈夫だよ。効果音に笠井が控えてるから)→英士
<一馬、激しく同意>










『人魚姫』――前編








(誠二、スポットライト)
(了解っ。キャプテンに焦点を合わせてっと)


 
やあ、皆! 今日の司会を務める、キャプテンの渋沢だ☆ そもそも人魚とは、美しく気高い存在で〜(うんたらかんたら∞)
――俺のに実に相応しい役だと思わないか!? ―っ、お前は魚になっても可愛いぞーーっ!! アーハハハハハハハハ!!!!!



(((マジで懲りない奴だな!!!!)))→出演者一同


(スポットライトを浴びて半狂乱で笑う大男……めっちゃ怖いわぁ)→ノリック
(ちゅーか、めっちゃウザいんやけど……しかも司会やなくて、ナレーターやろ)→シゲ
(キモイっちゅーねん!)→直樹


――ちゃん……ちゃちゃちゃん……ちゃちゃちゃちゃん……(ショパン:『別れの曲』)

「え……別れの曲? これって……竹巳のピアノ?」


(渋沢キャプテンに向けて、お別れの曲を弾きました。さようなら、大男さん)
(え!? ちょっとタク! これじゃあ話が終わっちゃうよー!?)



「竹巳……(涙)」(

 ……ん? あ、ああ。すまないな。よし! じゃあさっそく始めるぞー! 、頑張っていこうな★

(((貴様が頑張れ!!!!)))→一同



 
むかしむかし、ある海。青く澄んだ、美しい海には、海底に一つの国が存在していました。そこには、海の生物たちは勿論、伝説の『人魚』たちが仲良く暮らしていました。色とりどりの髪、瞳、鱗を持つ人魚たちの楽園があったのです。その楽園の王には、三人の子供がいました。特に末娘のは、皆から猫可愛がりされています。

、今日もマジで可愛いぜ……////」
「……本当にな。お前は俺たちの宝だよ」
「あははっ。ありがとう、一兄さま、竜兄さま」

 
そう言って笑う…………――な、なんてラブリーチャーミーなんだ!!!! 可愛い!! 可愛い過ぎるぞ!!! そしてその人魚ルックが眩しい……!!! 

「人魚ルック? ああ、この水着のこと? 貝殻のブラは流石に嫌だし、ビキニで何とかしてみましたv」

――貝殻……

「貝殻……」(一馬)
「……人魚ルック……」(水野)
「「…………――ぶふっ!!」」→の貝殻ブラを想像して鼻血を噴出し、倒れるへタレ×2人。
「きゃーーっ!? お兄様たち!! どうしたの!?」
<急遽、舞台から担ぎ出されるへタレコンビ>

 
なんだーお前たち? の貝殻ブラを想像して鼻血を吹くなんて、まだまだ青いなー! ハハハハハハハハハハ★


(いや、お前の鼻からも血が吹き出てるから)→翼
(あいつらって、マジでヘタレコンビだな……)→結人


<意識を失いながらも、うわ言を繰り返す二人>
「か、貝殻が取れっ……うぁっ……////」→一馬
「髪……髪が胸を隠し……ぷはっ……!!/////」→水野

(そして究極のムッツリ)→タッキー
(わざわざ手を下すこともないですね)→笠井
(……手を下す必要あるのか?)→柾輝



 
(ごしごし)→鼻血をこすっている。
 ……さて、そんなある日のこと。人魚姫は、海の上へと遊びにいきました。本当は行ってはいけないのですが、好奇心旺盛な彼女にとって、海の外は神秘の世界でした。よく、人目を盗んでは一人海から顔を出し、外の様子を眺めていたのです。ほらほら、王子の出番だぞ! 三上―!


「へいへい……っと。ようお前ら、今日も潮風が気持ちいいじゃねーか」

――ぶおおおおおおおおおおん(巨大扇風機による風起こし)

 
王子は、船の甲板から身を乗り出して、潮風に酔いしれていました。

――びゅわああああああああああああんっ!!!!!!(出力最大)

「うおっ!? ちょ、ちょっとこれは強すぎだろーがっ!!!」


(出力最大でも駄目か……誠二、もう一台扇風機持ってきて)
(えぇっ!? そんな無理だよー!)
(ちっ。使えないめ。もういいよ。ちょっとそこ退いて)
(えぇっ!? い、今タク、俺のこと『犬』って――)
(退け)
(うわーん! タク〜っ(涙))



 
何だか台風でも来てるのか? すごい風だなー。アハハハハハハ☆

「馬鹿か渋沢!! そんな悠長なこと言ってないで、今すぐこの強風をどうにかしろ……!!」
「その必要はありませんよ、三上先輩」
「なっ……おまっ、何で!?」

 
笠井? 何故お前がここに?

「俺は笠井ではありません。ただの――――海賊ですよ」

――どがっ!!

「ぐはぁっ!!」

――べちゃ……

 
こうして、一人潮風に酔いしれていた馬鹿な王子は、突如現れた海賊に一蹴され、青い海へと沈んでいきましたとさ。ふぅー、すっきりした。
――お、おい笠井。俺の台詞を取らないでくれないか? というか、三上は船酔いか?

 あ、すみませんキャプテン。ハイこれ、マイク返します。俺は効果音に戻りますから。

 
……? 


(笠井のやつ、今回も効果音だったこと根に持ってるぜ)→結人
(そうだね。ま、別に話の進行上何ら問題はないみたいだしいいんじゃない?)→英士
(本当は『身を乗り出しすぎて、風に煽られて転落』だもんね。転落することに変わりはないし)→杉原
(そ、そういう問題じゃないんじゃないかな……)→風祭
(というか三上は、笠井のストレス解消に使われてるだけな気が……)→天城


 
船酔い? してしまったのか、王子は誤って海に転落してしまいました。その様子の一部始終を見ていたのが、俺の! 人魚姫だったのだ……!!!(拳を握り締める)

「な、何故にそんなに力説してるわけ……ていうか亮、舞台の下で倒れたまま動かないけど!?」

 
人魚姫は、沈んでいく王子を急いで抱き寄せ…………――DA・KI・YO・SE


(キャプテンが、何かカタコトになってる!? どうして!?)→誠二
(渋沢の発音は、中々流暢に聞こえるな)
(いやいや不破センセ……アンタどうやったら、あのアルファベットの発音の良し悪しが分かるんや……?)
(うわぁ、不破君はスゴイんだね)
(ポチ……お前、そんな純粋な目で見るなや……)



 
だだだだだだだだ、抱きききききききききききっ……くっ……これは芝居だ! だから仕方ないんだ……! この台詞を言ってしまったからと言って、俺のが汚されてしまうことはない……!! 純粋で可憐で優しくて素晴らしいマイスイートなが、こんな四文字の言葉によって汚されてしまうことは断じてない……!! ない!! なーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!! うわぁあああああああああああぁああああぁあぁぁっぁぁl!!!!!!!!

(((((号泣かよ!!!!!))))


「大丈夫!? 王子様、しっかりして……!!」


(ぷっ……のやつ、渋沢の台詞無視して進めてやがる)
(当たり前だろ。アイツに付き合ってたら、まともに話が進まないしね)
(くくっ……翼、眉間に皺。こめかみが痙攣してるぜ?)
(……柾輝。分かってるなら、これ以上不愉快な気分にさせるな)
(へいへい。ま、人魚姫の王子役には、ここしか美味しいシーンないんだから大目に見てやれよ)
(フン。三上は笠井の当たり所で十分だね)



「急いで陸に上げないと……!!」

 
イッてしまったキャプテンに代わり、俺がしばしナレーターをします。人魚姫は、砂浜に気を失った王子を横たえました。どうやら王子は、一命を取り留めたようです。……ちっ

「ちっ、だと!? てめっ笠井!!」
「わわわっ!! 駄目だよ亮っ、今は意識が無いシーンなんだから!!」
「くっ……」

 
その時、誰かが砂浜に駆け寄ってくる音がしました。人魚姫は、慌てて海へともぐります。

「あらあら、人が倒れていらっしゃるわ〜w」(ドギツイメイクの結人)


(結人が恋敵役か……ていうか女装してるし)
(おぞましいね……人の見ると、本当におぞましく感じるよ)



 
人魚姫は、王子がとても気になりましたが、人間に姿を見られるわけにはいきません。仕方なく、そのまま海底へと引き返しました。
――はっ!! 話はどこまで進んでしまったんだ!? 俺が涙を拭っているうちに……。
 あ、戻ってきた。次やったら、
命の保障はできかねますんで。どうぞ宜しくお願いします。
 あ、ああ……? ええっと、海底に戻った人魚姫。しかし、どうしても助けた王子のことが忘れられません。くっ……には俺がいるじゃないか! あんな王子は忘れるんだ!! 一刻も早く!!! 俺があんな王子のことなんか、忘れさせてやるぞ!!!! っ!!!!(そう言って、に飛び掛ろうとするキャプ)


「えっ……!!」
「ハァハァハァハァハァ……!!!!!」

(((((悪夢再びーーっ!?涙)))))))


「いっ、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

――ごきごきっ めきょっ・・・・

「え……ピアノ……?」
「あれ? キャプテンの頭が、何故かピアノに食べられてしまっていますね」
「おぐわぁぁ……が、がざいぃぃぃ……」
「このピアノは、人食いで有名なんですよ。ああ、きっとお腹が空いていたんでしょうね」(遠い目)
「た、竹巳……アナタ、真顔でそんな台詞言わないでよ……(汗)」

(((((グッジョブ、笠井!!!!!)))))→一同、親指を立てる



――数分後……

 
すまないなお前たち! ちょっと俺の頭がピアノに食べられてしまうというショッキングな出来事があったものだから。もすまなかった。許してくれ!(土下座)

「いや、もういいから早く先を……」

 
ああ、は何て慈悲深いんだ……! 俺の犯した過ちを、まるで天使のように、御仏のように、聖母マリアのように暖かな眼差しと微笑みでお許しくださった……!! うう……何という幸せ!! 様、様万歳!!


(っ……誰かアイツを静めてこいよ!)→翼
(今すぐに
沈めるよ。ほら一馬、鼻血吹いてないで行ってきて)→英士
(なっ、俺かよ!? ……ていうか、何か変換ミスが起こってるような気がするんだけど……)



 
ああ……(号泣)
 人魚姫は、どうしても王子に一目会いたくて仕方ありませんでした。それで、海底に棲むという魔女のところへ相談に行きました。ほら笠井、ピアノ演奏スタートだぞ。

 
はい、分かりました。


「……私、どうしてももう一度、あのお方にお会いしたいのです」
「人間に会いたい?」
「ええ……」

 
姫は、王子のことを話しました。それを黙って聞いていた魔女は、人間と人魚について教えます。

……人間と人魚では、時間の流れ方が違うんだよ。人間の寿命の数百倍俺たちは長く生きられる。そして、人間は海では溺れてしまうが、俺たち人魚は溺れない。人間には足があり、俺たちには尾びれがあるだろ? それが決定的な違い」
 
 黙ってしまった人魚姫に、魔女はまだ続けます。椎名、あんまりを苛めないでやってくれ……!!

「……お前より、僕の方がよっぽど思いだよ。
 どう? 元々僕たちとは相容れない存在なんだよ。人間なんて、関わるだけ無駄なんだ。人間だちの世界なんて、此処に比べたら地獄のような柵しかないんだよ? それでもお前は、王子に会いたいと思うわけ?」
「…………はい」

 
涙を溜めて呟く人魚姫に、魔女は深いため息をつきました。そして、渋々とこう言いました。

「……お前を、人間にしてやれないこともない。でも、それにはかなりの代償が必要だよ」
「あのお方に会えるのなら、どんなことでもしてみせます!」
「お前の覚悟は分かった。まず、人間になったら、もう海へは潜れない。もう二度と、この世界に帰ることは出来ない。それでもいいの?」
「…………はい」
「次。代償として、お前の声をもらうよ。話すことは一切出来なくなってしまう」
「……構いません」
「そして最後。これが一番重要……」

 
魔女の言うことによると、人間となった人魚姫は、王子に愛されて初めて、本当の意味で人間になれるとのことでした。なので、王子が他の人間と結婚してしまった瞬間、人魚姫は泡になって消えてしまうというのです。それはすなわち……死を意味していました。うぅぅっ……、何て可哀相なんだ……!

「それでも……私は王子様に会いたいの……」
「…………分かったよ。次目覚めた時……お前は、人間になってるから……」

 魔女の言葉を最後に、人魚姫のは眠ってしまいました。さて、人魚姫の運命はいかに……で、今回はここまでだな。、頑張れ……! 俺はお前が大好きだ! だから頑張れ!!

「意味不明だね。むしろ、頑張る気失くすでしょ」
「郭に同感。ていうかお前の台詞が一番長いってどういうことだよ。全然話が進まないだろ! いい加減にしろよ!」
「お、俺はただ……ただ……が好きなだけなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」
「「それがウザいんだよ!!!!!!!!!!!!!(怒)」」


――後編に続く?


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人魚姫って、めちゃ悲恋ですよね。それを敢えてギャグとかって実はかなり無謀かもしれないと今思いました(遅)
そして、キャプをナレーターにしたのはかなりの失敗。上手く動かせない!!ていうか、暴走すると止める人がいない……!!もう失敗しまくりでマジ萎えました。。。
どうやって結末を締めるべきだろう……と、悶々と悩み中。普通に〆て、つまらないかもですが、ご了承下さいませ(>_<)