――恒例の舞台裏にて・・・

「皆も知ってとおり、今回からはナレーター役も増やしたからv お話が脱線しそうになったりした時こそ、この役の真価が問われるからそのつもりでね」
「何だか難しそう……。あ、でも今回は翼か。それなら安心だね!」
「はーあ。ナレーターね……ま、別にいいけど。とっとと終わらせるからな。お前ら、台詞とちんなよ?」
「よっしゃぁ!! やっと表舞台に立ったぜ! ぁ、狼にはせいぜい気を付けろよな?(デビスマ)」
「ひぃっ……ちょ、ちょっと亮? 笑顔が怖いんですけど……!!」
「俺は母として、全力でを守るからな! 三上など怖くないぞ! ハハハハハ」
「……克朗。ママの出番って、確か最初だけだった気が……」
「いいから早く、始めるよ。スタンバって!」
「は、はいっ!」
「何かさー、椎名と英士って、感じ似てるよなぁ」
「ああ……あの強引なところっていうか、まとめ方っていうか……」
「何か言った? 結人、一馬、俺と椎名が何だって?」
「「いや、何でもない……」」





『赤ずきん』――前編






 
始めるよ。昔むかし、あるところに、赤頭巾という可愛い少女がいました。あだなは『』です。
 ある日のこと。


「赤頭巾ちゃん、赤頭巾ちゃん、こっちにいらっしゃーい♪」


(ぶふっ! 渋沢マジでキモイんだけど!!)→結人
(アイツがあの笑顔で『赤頭巾ちゃん』を連呼してるの聞いてると、どうしても
変態的な感じがするのは何故だろうな……)→天城
(あははは……)→風祭


 
うわっ……マジでキモイし。――母親が、キモイ声でを呼びました。

「なあに? お母さん」
「お母さんはな、のことが大好きなんだ!」
「う、うん?」
「それだけだ! ハハハハハ」
「……克朗、お話終わっちゃうんですけど」

 
渋沢……役降ろすよ? 、気にせず続けて。

「え、あ、うん……。お母さん、分かったわ。おばあちゃんのところに行って、食べ物とお酒を届けてくればいいのね? うん。ばっちりオッケーv」
「何!? 駄目だ駄目だ!! 森には怖い狼男がいるんだぞ!? そんな危険な場所に、可愛い可愛い俺のを一人で行かせるなんて、ぜーーーったい駄目だ!」
「お母さんの方が怖いんですけど……!!」

 
心配する母親を適当にあしらって、赤頭巾は森へ出かけていきました。

―っ!!(号泣)行くなーっ! 行かないでくれーーーっ!!」
 
 
……渋沢、お前ここが舞台だってこと分かってる? ていうか本番中だってことも覚えてる? お前さー、ホントさっきから何なんだよ。お前のせいで皆が迷惑してるってこと自覚してる? しかもが一番困ってるんだよ! お前のウザイアドリブのせいで、こっちは皆気分を害してるってこと分かれよ! 不愉快なんだよ。お前の無駄にデカイ図体見てるだけでもイライラするんだから、これ以上僕の不快指数を上げないでくれない?! 今度何かしたら、お前は舞台から永久追放だからな! 分かった!?

「翼、本番中なんだけど……(汗)」


(さすがの渋沢も、椎名のアレには太刀打ちできないみたいだな……アイツ息継ぎどこでしてるんだ?)
(水野君、翼さんはきっと、肺活量がすごいんだよ)
(……そういう問題なのか?)
(いや、絶対に違うと思う……)→天城



 
ふぅ……やっと大人しくなった母親はさておき、赤頭巾は森で一人の猟師に出会っていました。

「こんにちは、お嬢さん」
「こんにちはー猟師さん。私は赤頭巾。って呼ばれてるの」
「俺は竹巳です。よろしく」
「よろしくねー」
先輩は、これからどこか行くんですか?」
「これからおばあちゃんの家に届け物をするの」

 
これを聞いた猟師は言いました。ていうか笠井、先輩付けて呼ぶなよ……。

「一人で行くなんて危ないですよ。ここの森は狼が出るって有名なんです」
「でも、おばあちゃんに届けないといけないの。気を付けるし、大丈夫よ」
「心配だなぁ。俺が送りますよ」
「平気平気! 大丈夫だから心配しないで」
「……分かりました。いざとなったら、大声を出すんですよ。俺がその狼を
殺りますから」
「やります? 何を??」
「いえ、何でもないですよ。では、お気を付けて」
「う、うん」

 
猟師と別れた赤頭巾は、おばあさんの家に向かって歩き出しました。その後姿を、茂みから覗き見る影が二つ…………おい、何でお前までいるんだよ。

「渋沢!? お前の出番はもう最後だけだろ!? どうしてここにいるんだよ!」
「だってが心配だろう!? ここで俺が見守っててやらないと、いつ何時、不遜の輩がを狙ってくるか分かったもんじゃない!」
「だぁっ!! それじゃあ話がおかしくなっちまうだろーが!! いい加減にしろ!!」

 
……渋沢。俺をここまで怒らせるとは、大したもんだよ。おい、U14トリオ。今すぐアイツを、どこか遠くへ捨ててきてくれない? この際生死は問わないよ。もう二度とこっちの世界に戻れないようにしてやってもいいから。郭、お前に任せる。

(了解)
(英士!? マジでやるのか?)
(当たり前でしょ。このままじゃ話が進まないし、も気の毒だし。ほら結人はこの網持って。一馬は、こっちの棒ね。後ろから殴って、網被せるから)
(なっ……!? 英士は何するんだよ。俺たちだけ殺人罪で捕まるのはゴメンだぜ!?)
(――ジャキンッ!! 
……コレで
殺るよ)
((マシンガン!?))


「渋沢っ、いい加減に舞台から消えろ! そうしないと次の場面に移れないだろーが!!」
「嫌だ!! 俺はを見守る義務がある――――」

――ズガガガガガガガガガンッ!!!!!

「ぐはぁっ! ごへっ! うがぁっ! ごひっ! ぶひっ! あひっ!」
「し、渋沢ぁ!? お前何踊ってんだ!?」(果てしなく勘違い→本当は銃で撃たれている)
「ほら結人、一馬、早く!」
「「お、おう……」」

――ぽかっ ぽかっ

「痛っ! 痛いじゃないかぁ!!」
「渋沢っ、お前生きてるのか!? 良かった! 良かった〜!!」
「若菜……お前何で泣きながら渋沢殴ってるんだ……?」
「結人、退け!」

――ばさぁっ

「ぬわっ!?」
「「捕獲成功!」」
yes!! 二人とも、そいつそのまま引きずって退場するよ!」

――ずるずるずるずるずるずる・・・・・

「うおおおおおお!!! ――――――――――っ!!!!!!!!!」



 
……ミッションクリア、したみたいだね。ご苦労様。 ほら三上、台詞。

「あ、ああ……(渋沢のヤツ、ホントに大丈夫なのか?) フッ……、気を付けないといけないぜ? 狼にはな……」

 
狼は一人、にやりと笑みを浮かべ赤頭巾を見ていますが、彼女は全く気づきませんでした。
 狼は先回りしておばあさんの家に押し入ると、ぺろりとおばあさんを丸呑みしてしまいました。


「あ〜れ〜」
「杉原……悪代官を前にした女中みたいな声出すなよ……」

 
そして、そのままおばあさんに化けた狼は、布団にもぐりこみ、赤頭巾の到着を待つことにしました。
 さてさて、赤頭巾の運命はいかに――? 

 ふう……こういう『引き』って結構大事なんだよね。はーあ。後編はもうちょっと、テンポ良く進んでほしいよ。



cast/目次/後編


 童話シリーズ第2弾は『赤ずきん』です。前回同様、やっぱり上手く書けません。しかも短い。
 版権モノの難しさを再確認している今日この頃。
 まあ、お暇つぶしにでも……ってことで。。。後編も宜しければどうぞv