幕間 交錯ノチ、倒錯。
――ある女の部屋
女はとても病んでいた。
元々一人になるのが苦手なのだ。今回こんなことになるなんて予想できていたら、参加するわけがなかった。
寝ようと試みるものの、こんな時に安らかに眠れるはずもなく、じっとしているしかない。
そんな時、ある刑事の顔を思い出す。
彼なら頼れるのではないだろうか?
しかし、先ほどの彼の言葉を思い出し、とどまった。
――一人で部屋から出ないように――
女は諦め、ぼんやりと窓へ近づいた。そして何気なく下を除き、思わず窓から離れる。
見えたのだ。人影が。
怖くなった女は、今のは幻だと言い聞かせると、急いで布団へと潜り込んだ。
――ある女2の部屋
女は考えていた。
自分が見たモノが本当なのかどうか。
見間違えなら問題ない。しかし、あれが見間違えではないことは、明らかだった。
「どうして…………」
あの人に向けて呟く。
分からない。確かめたくて一階に降りたけれど、結局は分からず終いだった。確信はできなかった。
「話してみようかな……」
二人に話せば、何か良い解決法があるに違いない。そして、自分の心の負担も軽くなる。
二人は刑事と探偵。きっと上手くいく。
しかし、義高に部屋を出るなと言われている。
みんなには聞かれたくない。確信もないし、間違っていたらあの人を傷つける。
「どうしよう……」
女はしばらく唸っていたが、やがて決心した。
廊下を一つの影が動いた。やがてその影は二つになった。
片方の影が言った。
「ウラギリハユルサナイ」
もう片方が答える。
「……ワカッテイル」
二つの影は、また離れた。
音は無かった。
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