ファイル1 ミミズバーガーの真相



「なあなあ、ちょっと小腹空かねえ? 俺、ハンバーガー買ってきたんだよねーv」
「え!? ハンバーガー……?」
「……誠二、今日俺たちが担当だって覚えてるよね?」
「ほひろんっ(もちろん)」(誠二、既にハンバーガーに齧り付いている)
「……もう食べてるし。まあ、覚えてるならいいんだけれど。……、大丈夫? 顔色、悪いよ」
「いや、誠二の神経の図太さに感服していると言いますか……竹巳は、ハンバーガー食べないの?」
「俺は誠二と違ってそこまで神経太くないからね。さすがに、この議題でこれを食べるのは厳しいかな」
「あはは……ですよねぇ」
「もぐもぐっ、ばくばくっ……ごっくん!っと。はあ、美味かった! あれ、二人とも食べないの?」
「「……」」
「へ?」
「いや、別にね? 誠二が平気なら全然いいの。むしろ、調査員としては誠二くらいじゃなきゃいけないってことも分かってるの」
「うん?」
「でも…でもさ? その……一応今回は
『ミミズバーガーの噂』なわけで……。ちょっと、その…ハンバーガーを食べながら語り合うのは、いささか気分が優れないかなぁ? なんて思ったわけよ」
、もっとハッキリ言っていいんだよ? 誠二の無神経、バカ代
犬は犬らしくしてろ、とか」
「い、いや、そこまでは……(汗)」
「そ、そうか……! ミミズバーガーの話するのに、ハンバーガー食べたら……うえっぷ、確かに気持悪いよな……。うぅ……なんか考えたら、吐き気が……ちゃん、ごめんね……(涙)」
「本当だよ。誠二はもういいから、トイレでも行ってなよ。後は俺とでやるから」
「そ、そんなぁ!(泣)タク、それは酷いよ!! 俺も一緒にやーりーたーいー!!」
「ま、まあ竹巳も……誠二、とりあえずハンバーガーを片付けちゃってくれる?」
「うん! ちょっと待ってて!!」
「全く……誠二のせいで、いつまで経っても始められないよ」
「はあ……」



「……というわけで、記念すべき
『都市伝説探偵団』第1回は、私と」
笠井竹巳でお送りします」
「ちょ、俺は!? 俺も俺も! 
藤代誠二を忘れないで!!」
「こらこら二人とも……(汗)以上の三名でお送りします。宜しくお願いしますね」
「じゃあまず、そもそもの噂の概要から説明していこうか」
「うん。じゃあこれは俺に任せて! まあぶっちゃけ言うと、
ハンバーガーの肉がミミズの肉だった!! って噂だよね?」
「そうだね。中には、
猫の肉バージョンとかもあるみたいだけど……」
「その世代によって、バージョンの勢力は変わってくるみたいね。私のお母さんは『猫肉』世代だったって言ってたし」
「まあ、結論から言えばこの噂は紛れもない、ただの
デマだね」
「え!? そうなの!?」
「誠二……信じてたの?」(
「うんっ! だってだってさ、俺聞いたことあるもん! 
『バイト中に猫の頭がぶら下がってたの見た!』とか『食べかけのハンバーガーからミミズが出てきた!』とか色々!」
「誠二が実際に見たわけ?」(竹巳)
「いや……タクも知ってるじゃん? あの、隣の部屋のアイツら。あいつらの友達が実際に見たんだって!」
「うーんとね……誠二。これぞ
『都市伝説が都市伝説たる所以』なんだと思うんだけど……都市伝説っていうのはね、特徴として『絶対にその噂の体験者に出会えない』っていうのがあるの」
「へ? それってどういうこと??」
「本当にバカだね誠二は。つまり、都市伝説って
『友達の友達が体験したんだけど……』っていう前置きが必ずつくものなんだ。これがどういうことかって言うと、『実在してる人物の体験談なんだけど、誰も自分が直接体験したわけではない』っていうこと」
「……ごめん、俺、意味分かんない(;´▽`lllA``」
「よ、要するにね
『その噂の言い出しっぺが不明』ってことよ。誰が言い始めたのかも分からないし、結局誰が体験したのかも分からない。でも、皆あたかも自分が体験したように話す噂……それが都市伝説っていうわけ」
「誠二の理解力も、ある意味都市伝説並みだよね」
「竹巳……(汗)」
「そっか! 分かった!! つまり、この噂はデマなんだよね!!(lllllllll´▽`lllllllll)♪」
「ええっと……まあ、そういうことなんだけどね……あはは……」
「ごめんね、誠二がバカで。この噂が広まり始めたのは、
某ファーストフード有名チェーン店が日本へ入ってきた1970年代。最初は、俺たちの親世代だから……猫肉バージョンが主流だったらしいね」
「今から約35年くらい前には、もうこの噂はあったってことね」
「へえ……そんな長い歴史があるんだ。俺、全然知らなかったよ(゜∇゜*lll)」
「誠二……調べてこなかったわけ?」(竹巳から黒いオーラが出てくる……)
「ひっ……いや、これはその……(滝汗)」
「え、ええと……そうだ! でも竹巳、そもそもこんなデマがどうして広がったのかな?」(、必死にフォロー)
「そうだね……こんなにも長い間、デマだと分かりきっているにもかかわらず、噂が囁かれ続ける理由は気になるね」
「ねえ、誠二はどうしてだと思う?(頑張って、誠二!)」
「うーん……よく分かんないけど……
値段が安すぎるから? とか」
「値段?」
「うん。ハンバーガーってさ、
めちゃめちゃ安いじゃん? スナック菓子より安いのも多いし。何でそんなに安いのかって、時々不思議に思うときあるんだよねー」
「誠二にしてはいいところに気が付いたね。俺もその通りだと思うよ」
「タクもそう思う!? 良かったー!」
「どういうこと? 私、分からないよー」
「よっし、じゃあ今度こそ俺に任せてよv つまり、
ハンバーガーの安さに、皆が不信感を抱いているってことだよ!」
「不信感?」
「そう! ハンバーガーは
牛肉から作られてる。でも、牛肉って結構高いよね? なのにハンバーガーは超安い! どうして? って当然思う。そしてそれが、『もしかしたら、牛肉じゃなくて違う何かを使ってるんじゃ?!』っていう結論になるんだよ!!」
「なるほど! 誠二、すごいよ!! カッコイイv」
「えっへん!」(胸を張って誇らしげな誠二)
「へえ……誠二も中々言うね。でも、結局何であんなに安く作れるのかまで説明してよ」
「えっ!? そ、それは……(^。^;;」
「それは……誠二、それはどうしてなの??」
ちゃ〜ん……そんな目で見ないでっ(涙)うわーん、タク、助けて!!」
「はあ……まったく、突然“知ったか”なんてするからだよ。、ハンバーガーが安いのは
『量産型』だからだよ」
「量産……?」
「そう。つまり、
輸入牛は大量生産されている上、1回の出荷量が多い。少量生産だとね、コストがかかるんだ。逆に言えば、大量生産品はコストが安く済む。ハンバーガーは一度の出荷量が莫大だから、あんなにも商品一個の値段を安く出来てるってわけ。まあこれも、大型チェーン店だからこそ成せる技だと思うけどね」
「なるほど!!(二回目v)さすが竹巳!! 私、全然気付かなかったよ……はあ、がっくり」
は落ち込む必要なんてないよ。頑張ってるんだし、
俺はそんなが好きだよ」(さり気無く告る竹巳)
「ちょ、ちょっとタク! 抜け駆けは駄目だって!! しかも俺と全然態度違うし!!(涙)」
「? ありがとう竹巳。私も竹巳が好きだよv」(超鈍感なヒロイン)
「そういうところも可愛いよね、は」
ちゃん……(汗)」
「?? よーし、私も二人に負けないように頑張らないと。ねえねえ、今一つ思い付いたんだけど、この噂が広がった理由に
『ジャンクフード批判』っていうのがあるような気がしない?」
「ジャンクフード批判?」
「そう! よくさ、ファーストフードのことを『ジャンクフード』って言って、悪く言う人たちいるじゃない? それが関係してるんじゃないかなって思って」
「……なるほどね。、それ、いい考えだと思うよ」
「ホント!?」
「うん。確かに、日本には今でも
ジャンクフードとして、ファーストフードを批判する声が根強く残ってる。特に、年代が上がれば上がるほど、そういった非難は多い
「確かに……俺もじいちゃんとかばあちゃんによく
『そんなもんばっかり食べてるとバカになる』って怒られたもんなー」
「ああそうか。誠二はそんなのばっかり食べてるからバカになったんだね。可哀相に」
「タク!!(泣)酷いよ!!」
「(無視)こう考えると、の言うとおり、こういった『ファーストフード批判』がこの噂を助長したことは間違いないだろうね」
「わーい♪ まともな答えが言えたーっ!」
「やったねちゃん!!」
「うんっ!!」
「クスクス……は本当に可愛いな」
「……はっ。こんなんで喜んでる場合じゃないよね!? ええっと……もう、他に理由って無いかなぁ」
「うーん……俺はもう、思い浮かばないよ〜。タク、何かある?」
「そうだね……直接的な理由、にはならないかもしれないけど……強いて言うなら、
猫と人間の関係が考えられるかな」
「「猫と人間の関係??」」(誠二・
「そう。猫とか犬、いわゆる家畜動物って、俺たちとすごく近い距離にいるだろ? 人間とほぼ同等に扱われることもしばしばある。そんな存在をもし、
知らず知らずのうちに食べてたら……っていう不安が反映されたんじゃないかな。猫は突然姿を消して、どこかへいなくなることも多いしね」
「確かに……野良猫とか多いし……。うん……猫肉バーガーに結び付きそうだなぁ」(誠二)
「ホラー映画とかでもよくあるもんね。自分が食べてたのは、実は可愛がってたペットだった、とか……」(
「普段は思わなくても、あるふとした瞬間に『今自分が食べたのは……』なんて、思ったりするものなんじゃないかな。こんな噂を聞いたら尚更ね」
「うぅ……何だか気持ち悪くなってきたかも……(涙)」
「タクの話し方がリアルなんだよ……(汗)」
「アハハ、ごめんごめん。まあ、そういう考え方もできるんじゃないかなってことだよ」
「「…………」」(二人、落ち込む)
「クスクス……ちょっと刺激が強すぎたかな?」

 そんな時、所長の西園寺玲が現れる。

「うふふ、三人とも、調子はどう?」
「玲ちゃん! うん、もうバッチリ。竹巳がスゴイんだよv」
も十分スゴイよ」
ちゃん、俺は!?(泣)」
「うふふ……もうそろそろ他の子たちが戻ってくるんだけど、もうそろそろ締めてもらえるかしら?」
「はーい。了解です。二人とも、まとめしよっか」
「そうだね。ほら誠二、最後頑張って」
「う……俺、何か自信が無いよ……」
「ちなみに。次回のメンバーはこれよ」
「ええっと……第2回は……
柾輝と一緒だ! ザ★飛葉っ子同盟結成だわ!!」
「えー! 何かいいなーそのコンビ名! 俺たちも付けようよ!!」
「じゃあ私たちは……
武蔵森ブラザーズねv」
「オッケー!! 俺とタクとちゃんは
武蔵森ブラザーズだ!!」
「きゃーっv 何かいい響き! 兄弟って素敵vvv」
「わーいわーい♪」
「……はあ」(竹巳)
「笠井君も、色々大変ね」
「いつものことですから(にっこり)」
「うふふ、ならいいのよ(にっこり)」



「……というわけで、こんな感じでお送りしました第1回
『ミミズバーガーの真相』いかがでしたでしょうか?」
「まあ最近では無いと思うけど、昔はよく
「ハンバーガーにはミミズが入ってるんだ!」って言って、絶対に食べない人とかいたみたいだね」
「俺はハンバーガー好きだから食べるけどねーv でも……やっぱりちょっと……気にはなるなぁ」
「あはは……まあね。でも、
実際に私の友達でこのチェーン店で働いてた子沢山いたけど、誰もそんなこと言ってなかったし! 都市伝説は都市伝説だよ!……多分(苦笑)」
「でもまあ、
ハンバーガーだけを食べ続けるのは、確かに身体に良くないからね。特に成長期の子には、オススメは出来かねるかな」
「うーん……案外この噂、
子供の成長のために流されてたりして……」
「ありえるなぁ……うちのばあちゃんたちなら言いそうだよ」
「クスクス……
善意から生まれた、悪質な噂ってところだね」
「何はともあれ、
ハンバーガーの食べすぎには注意ってとこかな? 健康のためにもね」
「俺、これからはちょっと、スナック菓子とかハンバーガーとか、食べる量減らしてみようかな……」
「そうだよ。誠二もいつか、ミミズ入りバーガー食べることになるかもしれないんだから」
「うっ……タク、そんな怖いこと言うなよ……」
「ふふっ、案外もう、食べちゃってるかもよ?」
ちゃんまでー!!(汗)……あ、若菜たちが帰ってきた! おーい若菜―!」
「おっ、藤代と笠井じゃん。あ、もいるv お疲れさん」
「結人、お疲れ様v」
「若菜、その袋って……」
「お、そうだ。これ、駅前で売ってたハンバーガーなんだよ。沢山買ってきたから、一緒に食おうぜ!」
「結人、せっかくだけど私たち、今は――――」
「わー!! 美味そうvv 食べる食べる♪」
「よっしゃ! じゃあこっちに来いよ!!」
「分かったー! 二人とも、ちょっと俺行ってくるねー★」

 電光石火のごとく、ハンバーガーに飛びつく誠二。
 そんな誠二に苦笑いを浮かべる。呆れ返る竹巳。

「……ちょっと食べる気しない……のは、私たちだけみたいだね……(汗)」
「……誠二にかかったら、都市伝説は何の威力も持たないね」
「かーっ、やっぱハンバーガーは美味ーーーいっ!!!」
「「はあ……」」



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