――――ハートのQueen
「……」
このカードを引いた日の夜は、何気にいつもアイツからの電話が無い。
僕にそのことを教えてくれてるんだろうか。
別に、アイツから電話が無いからどうした? そんなの全然気にならないし? ……と、自分に言い訳してみる。
でも、身体と心は正直で。
こういう日は、決まっていつも眠れない。
嫌な夢さえ見れない……。
Mysterious〜君の心が知りたくて〜
アイツ……を前にすると、僕の調子はイマイチ。
らしくない発言、らしくない行動……と僕が主導権を握っているはずなのに、何故か上手くいかない。
「ねえ、来週の日曜暇? 映画行かない?」
「……うーん……どうしようかなぁ」
「別に無理にとは言わないよ。やめる?」
「……うーん……じゃあやめる?」
「え!?……い、いや、質問を質問で返されても……」
「あはは、そうだよね? ごめん翼」
「いや……で、映画……出来れば、と見たいんだけど」
「いいよ? じゃあ、日曜日ね」
「……」
……普通はさ、こっちが引いたら少しは食いついてくるもんじゃないの?
なのに、は押しても引いても手応えが無い。
まるで僕の一人相撲。
恋愛のテクニックは、人並み以上に持っているつもりだった。
駆け引きだって、誰よりも上手くやってみせるはずだった。
なのに、の前ではその全てが通じなくて。
……さすがの僕でもお手上げだ。
謎めいた君。
心の中が全く読めない、見えない。
冷めた君は、ホントMysterious……。
そのおどけた風な眼差しも、すべて計算つくされたもの?
僕を翻弄して、楽しんでるの……?
「翼……?」
「クス……ダメだよ、。今はまだ……してやらない」
ワザとらしくキスを避ける僕。
そうやって無理をして、掴めない君の気持ちの在りかを探してる。
「、僕のこと好きだよね? ……じゃあ、からしてよ」
「えぇっ……でも……」
「出来るよね? 僕の言うこと、聞けるよね?」
「翼……意地悪だよ……」
強気な態度に出るのは、心の弱さを隠せるから。
でも、無邪気な君にもう嘘つけない。
……ホントはいつも、君の心が分からなくて、不安なことを。多分きっと、態度に出てる。
「翼ぁ……んっ……」
「……、もっとだよ……そんなの、キスじゃないだろ……?」
「無理よ……これ以上、できなっ……んんっ」
「……出来るくせに…………っ……ん……」
官能的な瞳に魅せられた僕は、結局自分からに溺れていく。
「つばっ……ぁんっ……もうっ……あぁっ……」
「っ……お前、本気で僕に……っ……ホントに感じてんの……?…っ……」
「あぁんっ……翼っ……翼っ……」
「く……っ……」
……に溺れてないと、が感じてる姿でさえ「演技」ではないかという思いに駆られるから。
そうやって、僕の前でだけ「感じてるフリ」してるだけじゃないの?
もしかしたら、心の中はいつもみたいに冷めたまま?
僕だけが一人熱く燃え上がって、そんな滑稽な僕を見下してたりとかするわけ?
仮にそうだったとしたら……プライドが傷付く……?
……そんなんじゃない。
ただ……すごく心が痛む。
所詮この関係は、表向きの、形だけの関係なんだって思い知らされる。
好きになったのは僕だけ。
彼女はただ、玩具で遊んでる子供みたいに暇つぶししていただけ。
僕のことなんて、好きじゃない。
愛してるなんてセリフ、きっとずっと聞けないんだ――――……。
「ねえ……お前は天使? それとも……悪魔……?」
「……ふふっ、どっちかな? ……翼は、どっちだと思う?」
我ながら、何て馬鹿げた質問をしているのだと思う。
でも、とぼけたフリするが憎らしい。……もう、これ以上僕を困らせるなって……。
はあ……やっぱりには勝てない。
「小悪魔……は紛れもなく小悪魔だよ……」
「えー? 小悪魔なんかじゃないよー」
そう言って、悪戯に微笑む君は、やっぱり小悪魔以外の何者にも見えない。
自覚してるのかしてないのか……それすらも判別付かない笑み。
……こんな小悪魔、見たこと無い。
でも、僕は確かに感じてる。
今までにはない、かすかな喜びを。
といる時、僕はとても幸せなんだ。
こんなに、誰かの心を求めたことなんてなかった。
いつも、僕は相手に本心を見せなかったし、本心を見せたら弱くなるとさえ思っていた。
でも……今は違う。今なら分かる。
相手の心が見えないことが、どれだけ辛くて不安かということを。
一緒にいても、不安が募ることがどれだけ寂しいかということを。
今までの相手は、きっと僕にそんな思いを抱き続けていたんだろう。
我ながら、なんて酷いことをしてきたのだろうと思う。
――――ねえ、君の心は何処にあるの……?
「……ねえ翼。もうお店の中だよ? 手、繋いだまま……?」
「うん。いいだろ? 嫌なの?」
「あははっ、翼ってば、そんなに私と繋がってたいの??」
「……? お仕置きされたいわけ?」
「キャーッ、翼に襲われるーv」
ふざけたフリでもいい。
悔しいけど……今はまだこの手は離さないで。
何か1つでいいから、僕を安心させて。
子供みたいに、この恋まで散らかさないでよね。
謎めいた君。
冷めた瞳は、ホントMysterious……。
そのおどけた風な瞳も、すべて計算つくされたものなんだろ?
僕を翻弄して、楽しんでるんだろ?
……もう降参だよ。負けを認める。
に溺れてること、白状するよ。
だからお願い。
せめてこの恋だけは、僕から奪わないで。
たとえ君にとっては、退屈しのぎに過ぎなかったとしてもさ。
Fin...
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翼姫でMysteriousでした。私、Janneの曲の中でもトップ5に入るくらい、この曲が好きですv この歌のテーマは「ミステリアスな彼女の本心を知りたい」って感じかな。小悪魔的な彼女に、翻弄されてる男の子の葛藤というか苦悩みたいな。Janneの曲って、一人称が僕なので、必然的に僕を一人称で使ってるキャラの方が書きやすいです(笑)でも、内容は過激なものが多すぎて、とてもじゃないが中学生設定では書けませんが(;´▽`lllA`` ていうか、私いっつも翼に切ない思いさせてる気がする……。ごめんね姫様。これは愛憎なの!(は?)好きすぎて、どうしてか憎い展開にしちゃ――――(もうどっか逝け)
久々に姫を書いて、満足な桃井でした☆大人になった翼が見たいーっ(llllll´▽`llllll)
2008/02/23 桃井柚