HELL or HEAVEN〜Crazy for you!〜
――――side Kazuma...
「ねー一馬! 私お腹空いた!! 何か買ってきてよ」
「えぇ? さっき飯食ったばっかじゃん」
「甘いものが食べたいの〜! ねえ、買ってきてー」
「……分かったよ」
俺に向かって、女王様よろしくな態度をとっている女……。
何とびっくりなことに、俺の彼女だ。
はとにかくワガママで勝手な女。今だって、この寒空の中、俺は自転車でも結構かかるコンビニまで使いっぱしりに行かされる始末。
携帯も持たずに、俺はコンビニへと向かった。
「580円です」
「はい……」
金を払って、また寒空の下自転車にまたがる。
隣を歩くカップルが、仲良さそうに手を繋いで歩いているのを見て、俺は溜め息をついた。……寒さが余計に堪える。
憂鬱な気分になりながら、マンションの扉を開けると、珍しくが玄関前まで走ってきた。労いの言葉の一つや二つでも聞けると思ったが、それは俺の大きな勘違いだったらしい。
「ちょっと! このメールの相手、誰!?」
「は?」
「とぼけないでよ!! 何よこの、有希って名前。女からじゃん!」
「ああ、有希は部活時代のマネージャーで……って、お前勝手に人の携帯見るなって言ってんだろ! 返せよっ」
「浮気してんのね!? ……かじゅまのくせに、絶対に許さない! ちょっと貸しなさいよ!!」
「うわっ!? あ、おい!!」
俺から携帯を奪ったは、すかさずダイヤルをプッシュした。嫌な予感がしたが、もう遅い。俺が携帯を奪い返すよりも早く、が電話口で大声で捲くし立てた。
「ちょっとアンタ! 人の男に手出さないでくれる!? もう二度と一馬に近付かないで! メールもしてこないでよね!!」
「!!」
「ふんっ。これでこの女とも切れたわね! ほら携帯」
ぽんっと投げられた携帯。
……俺がまた、一人友人を失った瞬間だった。
今のを見れば一目瞭然だろうが、はとにかくヒステリックだ。しかも嫉妬深い。と付き合ってから、俺の携帯に入っているアドレスは段々とその意味を成さなくなった。女の名前は片っ端から消去され、今のようにメールでも来ようものなら、容赦なく「私のモノに手を出すな」宣言を相手にしてしまう。男友達だって、頻繁にメールが来ようものなら「私といる時に、メールしてくるなんてムカツク!」とか意味不明なことを言って、電源を切られることもしょっちゅうだ。
言っておくが、俺はにやましいことなんて一度だってしたことがない。浮気なんてもってのほかで、考えたことだってないのに……はそれを信じようとしない。全く、本当に酷い女だった。
の酷さはこれだけではない。
「ねえ一馬! これ買ってv」
「げ!? これって……」
「うん、エルメ○のバッグv 可愛いんだもん。欲しい欲しい」
「お前、これいくらすると思ってんだよ……(汗)」
「いいじゃない。ねえ、いいでしょ? 一馬、お願いv」
「……」
結局俺は、何万もする鞄や時計を、いくつもいくつも買わされてきた。傍から見たら、俺はただコイツに貢いでるだけの男なんじゃないかと思うくらい、それこそ法外な投資をしていた。
とにかく、には常識というものが無い。全く無い。
「彼氏の金を食い荒らすようなそんな酷い女が、本当に彼女だって言えるの?」
そう何度も、英士や結人に言われた。
でも、俺はそれでも、と別れようとしなかった。そんな俺に付き合っていられないといった様子で、二人はもう何も言ってこなかった。……最近では少し疎遠になっている。
要するに、のせいで俺は友達さえも失ったってわけだ。
俺の全てをダメにした。
でも俺は……そんな彼女を愛してる。
傍にいるだけでいいんだ。
もっと俺の首を絞めていい。
この愛に名を付けるならそれは多分……ぶら下がり愛とでも言うのか?
はきっと、俺の精神<ココロ>を甘く蝕み侵す、Psycho Breaker。
世界中を敵にしても、君といられるならかまわない。
何も怖いものなんてない。
そんな風に感じるくらい、俺はに夢中なんだから――――……。
――――side You...
今日もまた、一馬に無理難題を押し付ける私。
……ちゃんと断ってくれればいいのに。
そんな自分勝手な思いを胸に、私は一馬に文句を浴びせる。
――――お人好しのヘタレ。それが真田一馬。
昔はツンツンしてたらしいけど、今はその面影も無い。はっきり言って、優しくて、顔がイイってとこくらいしか取り柄がない彼。(それでも充分かな?)
私が何を言っても、何をしても怒らない。
私だったら、絶対に何度も切れてるのに……一馬は何も言わない。絶対に私を怒らない。
このままじゃ私、絶対にダメになる(もうなってるけど)……。
そう、何度も思った。
それでも私、彼を愛してる。
世間に何を言われてもいい。
私たちはそれで幸せなの。
だってこの愛は紛れも無い……純粋な「馴れ愛」なんだもん。
一馬は私の精神<ココロ>を甘く怠惰に侵す、Psycho Breaker。
厚顔無恥を振りかざしながら、一緒に探しに行こう?
誰もいない、私たちだけの「愛の楽園を」……。
愛は盲目なんて、よく言ったものだと思う。
まさか自分が、そんな言葉を実感する日が来るなんて、夢にも思わなかった。
でもこの関係は「依存関係」。
甘くて危険な関係は、彼らにとって天国? それとも……地獄?
――――そんなの、誰も知らない!?
は俺のココロを甘く蝕み侵す、Psycho Breaker。
世界中を敵にしても、君といられるならかまわない。
何も怖いものなんてない。
そんな風に感じるんだから――――……。
一馬は私のココロを甘く怠惰に侵す、Psycho Breaker。
厚顔無恥を振りかざしながら、一緒に探しに行こう?
誰もいない、私たちだけの「愛の楽園を」ね……。
Fin...
:RE>>
かじゅまーーー!!(涙)お前、いつの間にそんなヘタレになったんだよぅ!(お前のせいだ)いや、前からだよね……?(氏ね)かじゅまで、HELL
or HEAVEN〜愛しのPsycho Breaker〜でした。この歌は、『ダメ男とダメ女の首の絞め愛』とでも言うんでしょうかね(苦笑)いや、こういうカップルって意外といるんじゃないですか? ダメ男に惹かれちゃう女の子って結構多いし、事実、ダメダメカップルを私は何組も知っています……。でもね、結局は本人たちが幸せなら全部OKかなって思います。愛は盲目。相手が好きなら、ある程度何でも許せちゃうものでしょうね。バカップルも、楽しそうなら別にいっかって感じですし☆もし「お前となら世界を敵に回しても構わない……!」とか言われたら、ころんっと堕ちそうです、私(爆)そんな風に思ってもらえたら、ある意味すっごい幸せかもしれませんね。
2008/02/23 桃井柚