「あれ……結人?」
「……!?」
君と逢った、マジでバッタリ。
今夜の俺は、相当ついてる!!
BLACK JACK〜この恋はギャンブル!?〜
「結人、久しぶりね」
「マジで久々! 、すっげー綺麗になったな。ヤバイ、惚れそう……」
「やだ、結人ってば相変わらずなんだから」
「いや、マジだって! 今夜の主役はで決まりって感じだぜ?」
「うふふっ、ありがとう」
よし! 殺し文旬もバッチリ。
目の前で優雅にグラスを傾けるのは、昔の友人で、俺の初恋の相手――。最近は全然連絡も取っていなかったけど……まさか、こんなところで再会するとは思ってもみなかった。
今夜は、企業合併の祝賀会。いわゆるレセプションパーティーだ。綺麗なドレスに身を包んだ華やかな女性が集まる中、は一際輝いていた。それは、決して派手とかそういったことではない。よりも綺麗な女は沢山いるんだろう。ただ……少なくとも、俺の目には彼女しか映らなかった。
「……お前って、やっぱりマジで美人だな。俺、知り合いにこんな綺麗な女いねえよ」
「結人こそ、しばらく見ない間にすっごいカッコよくなってるじゃない。そう言えば、結人はどの会社の……」
「――――俺、WH商事に勤めてんだ」
「へえ! すごい。外資でも1位2位を争う大手じゃない。今夜の主催だし」
「あはは、まあな」
「尊敬しちゃうな。私なんて、その子会社のしがない事務職だもん」
……よく決まったハッタリ!! 俺がそんな大手に入ってるわけないだろ(汗)本当はのとこと同レベルの子会社に勤める、しがない営業だ。でも、どうやらは信じてくれたらしい。昔から、人を疑うことを知らないは、やっぱり今も変わらず健在のようだ。そこがまた可愛いとこなんだけど。
「結人……お酒飲めるの?」
「まあな、割と好きかも」
「そっかぁ……私、お酒弱くて……。あぁ……」
「おいっ!? !」
「あはは……ちょっとふらついちゃった……」
「……ちょっと、外出ないか?」
――――今がチャンスだ。
……今すぐ俺に、恋に落ちてくれ。
「……結人ぉ……どこまで行くの……?」
ふらふらとした足取りのの手を引きながら、俺は人目につかないロビーの隅までやってきた。薄暗いロビーは、会場の賑わいがどこか遠くに聞こえる。
壁際に寄りかかるようにして、を引き寄せる。その身体は細く、思った以上に華奢だった。
「なあ……今、彼氏は?」
「え……? 彼氏?」
「そう。もしいないなら……俺と付き合わない?」
酔っているからか、イマイチ理解出来ていない様子の。
首を傾けて、じっと俺を見上げている。
俺はそっとの顎を取ると、その唇に自分のソレを重ねた。
「…………」
「ん……ゆう……と……」
甘い声で自分の名を呼ばれて、思わず彼女を抱き締めた。そしてそのまま、もっと口付けを深くしていく。
「っ…………好きだ……」
「ふっ……んんっ……ゆっ……とっ……」
人気の無いロビーの隅で、俺は夢中での唇を求めた。
は抵抗もせずに、ただされるがままになっている。イイ気になった俺は、の耳元で囁いた。
「……の全てが欲しい…………」
そして、の服に手を掛けた時だった。
「……ダメ、これ以上は」
「え……」
ふと彼女を見ると、妖艶な笑みを浮かべている。酔っているからそう見えたのか。それとも……
「ごめんね? ……またね」
そう言って、軽やかな足取りで俺の前からいなくなった。
まるで、酔いなんて微塵も感じさせないほどに。
いつの間に、こんな小悪魔になってやがったのか……。月日は人を変えるという言葉を、目の当たりにした気分だった。
……俺は軽く振られた。
生まれて初めて。しかも、本当に好きだった相手に、だ。
「ちっくしょー……キスだけかよ……」
悔しさだけがたっぷりと残る。
の残り香が、余計に悔しさを募らせる。
……でも、ここで引くわけにはいかない!
そうさ、恋も常にギャンブル!
しかも負けを知らないBLACK JACK!
まだまだ全然余裕だぜ。だってほら、鏡に映る俺は不敵に笑ってる。
自慢じゃないけど、いつも俺は無敵のJOKER! 落とせなかった女は未だかつていないんだぜ? ……以外でな。
キレイな女はいらない。
ごってごてに着飾った女だってつまらない。
俺はただ、恋の駆け引きのスリルが欲しいのさ。だから常に、明日の事はこのコインに委ねる――……。
指で弾き上げたコインが、クルクルと回転しながら落ちてくる。
俺の生活は常にギャンブル。
1にギャンブル! 2に娯楽! 3に女と遊んで、最後には………?
そして、コインが指し示した明日は……
――――
――――――
――――――――……
「あれ? 結人??」
「!?」
偶然なのか必然なのか。
今度は一人で行ったバーに、彼女――はいた。
俺は迷わず彼女の隣に座り、殺し文句の数々を並べた。さらに、前回を上回るほどのハッタリをかましまくった。……我ながら演技派だと思う。
「うふふっ、結人ってスゴイね」
「の前ではカッコよくいたいから」
「……口も上手いし。この前は……びっくりして逃げちゃったけど……私……」
そうだ、今すぐに恋に堕ちてくれ……!
俺が懇願にも似た気持ちで見つめると、は薄っすら微笑みを浮かべ、目の前にあったカクテルを飲み干した。
白い喉元が、妖しく蠢く。
……酒弱いんじゃなかったのかよ? という突っ込みが頭を掠めたが、そんなことはもうどうでもよくなっていた。そもそも、一人でバーにいること自体、酒が弱いなんて嘘以外の何物でもないんじゃないか。
「……」
何となく、どうしていいか分からなくなってきた。
行き場の無い思いが燻っている。
でも……まだ、勝負はこれからだ。たとえが、俺が思っている以上に「小悪魔」でも、俺は負けない。絶対に勝つ。勝てる。
「……結人、どうしたの? 怖い顔してる」
「……、俺と勝負しねえ?」
そう言って、俺はバーテンにワインをボトルで注文した。
「ワイン飲み比べしよーぜ? 俺が勝ったら……俺のモノになってよ」
「……いいよ」
酒が弱いなんて嘘はもうつかないらしい。彼女は優雅に微笑んでいる。
そして、お互いにグラスを手に取ると、おもむろにそれを近付けた。
――――カチンッ
「「乾杯」」
そして、俺たちの熱いバトル(?)が始まった。
……正直、俺の楽勝だと思っていた。
しかし、もうボトルをお互い1本ずつ空けているというのに、の様子は変わらない。対して俺は……結構ヤバい。正直言うと、ワインはそこまで強くなかったりするのだ。カッコつけて、ワインなんて頼んでしまったが、ヤメておけば良かったかもしれない。しかも、ボトルを何本も空けられるような収入があるわけでもない。……随分リスキーな勝負を挑んだものだ、と今更ながら後悔してきた。
今の俺にあるのは、ただの意地とプライドだけだった。
絶対に負けたくない。
勝って、彼女を俺のモノにしたい。
その思いだけで、俺はグラスを煽り続けた。
……でも、ヤバイ予感がする。
俺はこんなにも辛いのに、隣の小悪魔は依然何も変わらず……。ちらりと横を見れば、ワイングラスを傾けながら、同じくこちらを見つめる瞳と出会った。……思わず苦笑いしてしまった。
そんな俺に、はいたずらに微笑む。
赤ワインがゆったりと揺らめく。
の瞳に惹きつけられて、目が逸らせない。
こんな風に、視線を捕えられたことなんて今まで一度もなくて……驚いた。
……俺は今まで負けなしだったんだぜ?
落とせなかった女はいない。
そんな俺が負けるはずないのに。
なのに何で……勝てない?
何でだけ落ちないんだよ……。
多分、俺は今「必死で焦ってる男」の顔をしているに違いない。
余裕のJOKERなんて……今はもうどこかに失くしちまった。
いつしか目を開けていられなくなる程の眠気に襲われ、がくっと肘を付く。
「く……そ……」
……の苦笑したような笑顔を最後に、俺は夢の世界へと旅立っていったのだった。
目が覚めたら、隣に君はいなくて。
代わりに会計が済まされた伝票と、「楽しい時間をありがとう」というメッセージが残されていた。
俺の惨敗。ボロ負けもいいとこ。
……男として、最高にカッコ悪い姿だった。
でも、こんなになってもやっぱり、どうしてもが欲しい。
もう、それは叶わない願いなんだけど。
「くっそー……!」
俺は白くなりかけた街の中で、ヤケになって叫んだ。
あれから時が経って。
俺は未だにギャンブルを続ける日々。
やっぱり連戦連勝。常に勝ち続けてる。
でも……あの悲しみだけ消えない。
いつまでも忘れられない。……のことを。
違う女を落としては、必死になっての面影を探してる。
一夜限りの関係の後は、決まって虚しさに襲われて……心に落とした涙を拾っては、夜空に投げ捨てる毎日。きっとあの星、俺の涙に違いない!(泣笑)
俺の人生常にギャンブル!
1にギャンブル、2に娯楽! 3に女遊びで4に……甘い恋?
いや……
1にギャンブル2に娯楽。3に女遊びで最後は……やっぱり君が欲しいんだ!!
! 次もしバッタリ出会うことがあれば、俺は絶対にお前を手に入れてみせる!
そして俺の初黒星を白星に塗り替える。覚悟しとけよな?
「でもどっちにしろ振られたんでしょ」
「英士……それを言うなって!」
「諦めろ、もう……」
「かじゅままで! お前ら……もっと励ましとかねえの!?」
……君に振られてがっかり……(涙)
Fin...
:RE>>
結人でやっちゃいました、BLACK JACK。今回は、かなり歌詞を勝手に解釈して私流に変えてしまったので、あんまり歌詞通りじゃない……。簡単に言えば、遊び人の男の子が、ぎゃふんと振られる清清しい歌!(爆笑)☆いや、違いますか?
でも、恋愛をゲームとかギャンブルに考えてる人って、思った以上に多いみたいです(汗)そういう人には、こういう苦い経験を是非積んでいただきたい(笑)そして、あわよくば落とせなかった相手に本気になって欲しい。そこで身を落ち着けてほしいです(何だお前)いつまでもゲーム感覚でしか他人と付き合えないのって、実はすごい虚しくて淋しいんじゃなかろうか。そういう桃井は、はっきり言ってゲームする気も起こらないって言うか……基本的に他人に無関心すぎてどうしようって感じです(おいおい)
しかしまあ、生温いエロは書くのが難しいです……。大体どっからがR-12でR-15でR-18なのか全く判断出来ません(;´▽`lllA`` 最近の少女漫画なんて、確実に18禁じゃんね! まあ、私としては、エロを取り締まるよりも、残虐シーンとかそういったものにきちんと年齢制限かけていくべきだと思うんですけどね。
2008/02/23 桃井柚